タンザニアフェザーテールセンチピード
2014/05/11
オオムカデのほとんどがほぼ同じ形態をしている中で、本種はいささか変わった特徴を持ちます。すなわち尾脚が後方に長く伸長し、その先端が鳥の羽のような形状になっているのです。これはなかなかおもしろいものです。この特徴ゆえに本種は、かなりの人気動物ですね。
この特徴的な尾脚の役割について、なにか参考になる文献はないかと調べてみますと、先端の鳥羽のような器官を震わせて音を出すことができるという記事を見つけました。筆者が本種を飼育している時に、そのような音は聞いたことがありませんでしたが。ただ、この器官が何らかの護身用であることは大いに考えられます。雌雄の差なくあるので、異性を誘うためのものではなさそうです。
オオムカデの多くが、頭部と尾端だけ色がちがっていたり、じゃっかん濃くなっていたりします。そして後方に伸びる尾脚は頭部にある触角よりも長く、一見するとこっちの方が目立ちます。これは頭部を敵の襲撃から守るための特徴なのでしょう。爬虫類でもマツカサトカゲのように、尾が頭のように見えるものがいます。また、別項で紹介したニホントカゲでは、若い個体の尾の色が鮮烈でよく目立ちます。地を這う生き物の多くが有するこうした特徴は、明らかに頭を守るためのものです。
頭を守るということを考えながらオオムカデの全体図を見ていると、確かにどっちが頭か判りにくい形状だなぁと思えます。本種ではそれがさらに発達して、尾脚がたいへん目立つ器官に変じています。この虫を見つけた敵の関心もここに集中することでしょう。とくに尾脚を動かしていると、そこだけ独立した生き物のようにさえ見えます。
発想の転換として、この尾脚を利用して獲物をおびき寄せるというメリットはないのでしょうか。魚類では舌や背びれの先端が発達した器官を虫のように動かして小魚を釣るものがいますよね。
さらに、防御と獲物釣りの両方の役割を持つという考えはどうでしょう。
いずれかは本人に聞いてみないことには解らないですね。ただ、似たような器官を持つものや、形状はちがっても尾脚に明らかに目立つ特徴を持つ他種がいないってことは、このユニークな発想の効果がいかほどものかは、あまり期待できないかもですね。