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■生物の進化と生態系■

  これまでの生物の進化に関する研究は、そのほとんどが個々の生き物を主体にして来たように思われます。生き残るためにより強く大きく進化したとか、餌を効率的に採取するために器官の特殊化が進んだとか。個々の生き物主体の考え方では、生物は延々と戦い続けているだけのように見え、力で勝負、あるいは数で勝負のパワーバランスで生態系は維持されているように見えます
 パワーバランスの考え方でも、生態系の構造を説明できますし、競争と競合で生態系は成り立っているという考え方もまちがいではないのですが、自然界では生存競争だけでは割り切れない共生関係や、譲り合いが存在することも事実です。それも競争のための駆け引きだと言ってしまえばそれまでですが、競争の考え方だけでは、進化上の現象について説明できるものの、進化の原因や必要性までは説明できないと思います。
 生物がなぜそのように進化したのか、なぜ多種多様の生き物が存在するのか、地殻変動等で地球の環境は変化し続けているのに、なぜ地球上生態系は維持されているのか。生物は極めて精密な構造を持つ有機化合体です。環境に順応するための機能を備え、環境に依存して生きています。環境の変化が適応能力を上回ると、生物は死滅します。だから生態系を維持するには、様々なタイプの生き物を用意しておかねばなりません。

 生命は最初、薄い被膜で覆われた液滴のような状態で誕生しました。それが遺伝子という生体の仕組みを記述するシステムを獲得し、生物としての秩序立った進化を始め、多彩な生き物が創られました。どんなに異なる生物でも、すべての始まりは遺伝子を持った液滴であり、その変化のバリエーションです。細胞分裂の繰り返しによって体が作られ、子孫が作られ、ちがう種類の生き物が生まれたわけで、細胞レベルでは、すべての生き物は兄弟姉妹なのです。
 地球上に生命が誕生したことも不思議ですが、それが滅びることなく存続し続けたことの方がさらに不思議です。地球の度重なる地殻変動に耐え、植生を維持し動物たちを育んで来たシステムとはいったいどのようなものなのでしょうか。
 地球上の生物圏それ自体を1つの生物とし、個々の生き物はそれを維持するためにそれぞれの役目を果たしていると考えるとどうでしょう。生態系が自分を維持するために、あらゆる環境に生き物を送り込み、進化と多様化を促したのだとしたら。

 地球上の生物たちの間には、食う者と食われる者の立場のちがいがあることは事実です。しかし捕食者は餌となる生物を食い滅ぼそうとしているわけではありません。また、同種間における縄張り争いで、ライバルを死滅させることもありません。同じ種類の生き物で滅ぼし合いをするのは人間だけです。
 人間は、競争社会のあり様を、自然界における生存競争になぞらえ、競争することが生物としての宿命であるみたいなことを言い、競争社会や戦争を正当化したりしますが、野生動物たちは競争などしません。戦争もしません。そもそも生存競争などという言葉自体、人間が勝手に考え出したものです。
 生態系は、生存競争の重なり合いによって成り立っているのではなく、それを維持するための生物相互間のネットワークによって成り立っているのではないでしょうか。


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