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生物学における相対論

 理論物理学の世界には相対性理論といういささか難しい考え方があります。ドイツの物理学者アインシュタイン博士が考え出した理論で、等速運動し続ける場(慣性系)での物体の運動を記述した特殊相対性理論と、加速する場や重力場の状況も含めて説明した一般相対性理論があります。
 特殊相対性理論によると、速度と重力が一定の場では物理の法則は不変なので、ものの大きさや重さ、時間の流れは一定です。つまり物事は等速運動する特定の場では不変だけれど、場の状態が変われば物事はその姿を変えるよ、ということなのです。
 物理の法則は全宇宙で普遍的であると言われていますが、場の条件が変われば事象の姿が変わってしまうとすれば、例えば地球から他の天体を観測するような場合、地球という場から別の天体という場を観測した場合、そこで得られる測定値は正しいものではないということになります。地球上から見た時に限定される数値だということです。
 同じ地球上でも、高山と海岸では地球から受ける重力の値が微妙にちがいますし、止まっている人と移動中の人とでは、別々の慣性系にいます。超音速ジェット機で移動する人の時間は、地上をポコポコ歩いている人の時間よりわずかに経過が遅くなるので、地上の人からするとじんわりと過去へタイムトラベルし続けています。空の上の人の時計はゆっくりと遅れ続けます。
 こうなると等しい慣性系なんてものは、宇宙においては極めてピンポイントな特殊な場であり、あらゆる場の状況を考慮し一般化できんものか、ということで考え出されたのが一般相対性理論です。
 一般相対性理論では、光速度不変原理という物差しを用いて、全宇宙の場の状況を一般化します。秒速30万キロメートルで運動する光の速度は、あらゆる場の状況を超越して一定です。光は光源を離れた瞬間に加速することなく秒速30万キロメートルに達します。この速度が宇宙における物理的限界速度で、この速度に達した時、物質の時間は消滅します。だから光は加速に時間がかからないわけで、どこまで飛んでも彼自身の時間は経過しません。星を離れた光は鮮度を保ったまま数十億光年を飛び続け、天体望遠鏡に届くのです。
 宇宙のあらゆる場を無視して不変である光の存在のおかげで、慣性や重力(厳密には両者は同じ)の影響により変化する事象の様子を観測するのに一定の基準ができたのです。
 相対性理論の登場により、物事を観測し測定する精度が、これまでの古典力学による方法よりも格段に向上しました。現在の文明を支えるエレクトロニクスも、相対性理論の賜物です。
 なんだか頭が痛くなりましたね。筆者も頭がかゆくなりました。なのでこれまでの話しは忘れて下さい。書いてる本人がよく理解していないものを読者に解ってもらおうとは思いません。
 でも、宇宙とは、自然科学とはこういうものなのですよ。

 相対性理論すなわち相対論は、すべての物事の状態は絶対ではないということを言っています。すべての事象は、ある特定の条件に対してそれに相対した特定の状態をとり、条件が変われば事象の状態も変化に相対して変わるのです。
 相対論は、すべての物事の存在が絶対的ではなく、相対的なのだということを教えてくれます。
 物事の1つの姿を絶対であると信じるのではなく、その姿である背景にはどのような条件があるのか、どのような条件でその姿をとるのか、そこのところを考えていけば、これまで見えなかった真理に近づくことができます。
 理論物理学における相対論は、筆者に発想の転換あるいは逆転の発想の重要性を教えてくれました。太陽は東から登って西に沈みます。天文学の知識がなければ、太陽が空を移動していると信じていても人は問題なく生活して行けます。地球を基準にすると実際に太陽は天を駆けており、その様子を矛盾なく測定することができます。しかし、太陽が不動で地球の方が自転しているという逆転の発想で、むかしの地動説論者たちは真実に近づくことができたのです。

 生物学の世界でも同じで、既製概念を絶対的なものとして信じている限り、様々な矛盾は解決できません。
 ライオンがシカよりも強いというのは、弱肉強食の価値判断で比較するという条件に相対してのことです。繁殖力と個体数という条件では、シカが圧倒的に強くなります。
 食うか食われるかの生存競争という発想も、人間界の競争社会になぞらえると、そのように表現できなくもないというだけで、生態系のバランスという基準で見れば、生物は競争ではなくむしろ共存しています。
 筆者も生物の一員ですが、牛と競争して食い滅ぼそうとは思いません。筆者はいつも牛を食う側に立っていて連戦連勝ですが、道端でばったり牛と出会った場合、次の1勝を目指して戦いを挑もうとは思いません。敗走するのはたぶん筆者の方です。牛と筆者の力関係も条件の変化に相対して変わるのです。

 人間界における競争社会と縦社会の構図は、自然界の弱肉強食の掟と食物連鎖のピラミッドを模倣しているという風に、多くの人々が思っているかも知れません。しかしそれは、勝ち組人生を送っている人たちの詭弁でした。競争を繰り返し富の独占に邁進した結果、様々な考え方やいろんな能力を疎外し、人間社会は環境の変化に対する緩衝能力を失ってしまったのです。現在の縦社会と競争の構図を改めない限り、人間社会はわやくちゃになってしまうでしょう。不況で苦しいから景気対策を講じると言ったところで、経済成長という考え方しかできないのでは、先が知れてます。好景気の次にはさらに悲惨な不況が到来し、自然破壊がまた一段と進みます。
 人は愚かな生き物だから、けっきょく滅びるしかないのだ。悲観論者はそんなことを言います。愚かならば学べばよいのです。学べないなら人間をやめなさい。
 ある時、ライオンにインタビューしてみたのですが、彼らはやはりシカと競争などしていないと言っていました。ライオンはこうも言っていました。我々ライオンはアフリカの平原での狩猟生活に適応した生き物で、その役割を果たし続ける。しかし人間は環境に適応するのではなく環境を変えようとして来た。人間は多くの破壊と資源の浪費を行なった。しかし他の生き物に愛情を注いだり、地球のために何かしようと考えたりするのも人間だけだ。


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