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ヤママユガ

2014/06/25


 かつては絹糸の大きな生産国であった日本ですが、今では養蚕はすっかり廃れてしまい、絹糸はそのほとんどを輸入に頼っているようです。カイコガは古来より人に飼われ、野生回帰能力を失った家畜昆虫と化し、もっぱら人工環境にのみ棲息しています。これに対してヤママユガは野生種にして絹糸を生産する昆虫として知る人には知られています。
 クワしか食べないカイコガとちがって、様々なクヌギをはじめ広葉樹を餌にすることができるのですが、天敵が多くその数はどんどん減少しているようです。産地では食草がひじょうに豊富なのに衰退の一途をたどるこの大型のガは、大型ゆえに近年の環境の変化について行けなくなった進化上の終焉に近づきつつある虫と言えるでしょう。
 カイコガが家蚕といわれるのに対し、本種は天蚕とも称され、ごくわずかではありますが、本種から絹糸を採る業者が残っていますし、林業の活性化のために本種の効率的な飼養について研究に取り組んでいる人たちもいるようです。



 今回、そうしたヤママユガから絹糸を採取する貴重な工芸家の方から数頭の幼虫を送っていただくことになったのですが、この衰退過程にある虫の飼育は容易ではないということでした。



 風通しの良い環境を作るために、選択ネット等を利用したケージ作りの方法を伝授いただき、食草は水を満たしたビンに差して与えるようにとアドバイスをいただきました。それをもとに、大型のプラケースの2面にドリルで通気孔をたくさん設け、その中にビン差しの食草を入れて管理するという方法を採ることにしました。



 通気孔を設けたプラケースでは、風通しが不充分でしょうか。そうでもないと思います。それにネットを用いたケージよりも扱いが楽ですし、寄生バチや天敵の浸入もネットケージよりは防げると思うのですが。……ネットより抜け穴が少ないという安易な考えは、寄生バチにはお笑いかもしれませんが。



 4頭の幼虫を送っていただいたのですが、残念なことに輸送のストレスで死んでしまい、一番小さな個体だけがかろうじて生きていました。



 腹面図ですが、透き通るような緑色で、溜め息が出るほど美しいイモムシです。



 頭胸部のクロースアップ。体毛の生え際が水色になっているのがオシャレですね。最近イモムシのファッションセンスにハマッます。



 腹部にある4対の歩脚。ヤママユガの幼虫はひじょうに強固に枝葉に貼りつき、引き剥がすのが困難です。食草の入れ換えにも、幼虫を引き剥がさず自ら新しい葉に移るようにするのがよいとアドバイスを受けました。



 尾端の歩脚。歩脚は計5対です。このクリアーなグリーンは、洋菓子のゼリーみたいですね。美味しそうです。



 今回の飼育は、スタート時点で失敗です。生き残った1頭も、シラカシに乗せておいたのですが、いつの間にかケージの底に落ちていました。すでにちがう葉を口にした幼虫がシラカシを食草と認識できない可能性が高いです。
 このケージは、飼育中のシンジュサンの幼虫が大きくなったら使おうと思います。万が一の可能性で生き残ったヤママユガの幼虫がシラカシを食べてくれば大喜びですが、そう上手くはゆかないでしょう。
 飼育は失敗ですが、いただいたアドバイスは他のチョウやガの飼育にも活かせると思います。これまでもいろんな生き物の飼育方法が他に流用でき、飼育の幅が広がりましたし。そしてまた機会があれば、本種の飼育に再挑戦してみたいと思います。

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