1_萌萌虫雑記帳.png

ヒラタクワガタ

2014/07/06


 ヒラタクワガタは、筆者が幼少の頃には、それほど珍しい昆虫でもなかったように思います。コクワガタのでかいやつといったイメージで、あまりカッコイイとは言えない、子供たちにもあまり人気がないクワガタでした。子供たちのあこがれは、やっぱノコギリクワガタやミヤマクワガタで、オオクワガタに関しては幻の虫でした。
 それが世紀末に興ったオオクワガタブームの頃には、ヒラタクワガタはかなり貴重な虫に変じており、そのブームに関心がなかった筆者は、流行の家中で昆虫博士になった人たちが本種をたいへん貴重がっていたことに驚いたものです。
 ヒラタクワガタは、どうしてそんなに減ってしまったのでしょう。
 現在は、多くのブリーダーたちによって人工環境ではじつに多くの本種を見ることができます。
 ヒラタクワガタは、飼育や繁殖がノコギリやミヤマよりもずっと楽だと思います。成虫になってからも数年間生かしておくことができますし。
 そして、本種はインドネシアやアジアに広く亜種を擁し、その数は25亜種にも登るとされています。インドネシアに棲息する Dorcus titanus titanus を基亜種とするならば、日本の本州、四国、九州に広く分布する亜種 Dorcus titanus pilifer はニホンヒラタクワガタとでも称するべきです。
 そして日本の南の島々には、10を越える亜種が存在しています。日本の亜熱帯地方に多くの亜種を産するのはコクワガタと事情が似ています。
 海外、インドネシアやベトナム、台湾、中国、マレー半島にも種々の亜種が記述されていますが、その広い範囲を合せても日本の亜熱帯の亜種と同等の数の亜種しか認められていないのには驚かされます。日本は狭い範囲でどれだけバラエティに富んでいるねん、って話しです。じつは外国では研究が進んでいないだけで、今後ゾロゾロと新亜種が記述されることになる……なんてこともあるかもですが。
 日本のヒラタクワガタ十数亜種は、オスの全長が70mmを越えるていどのものが主流で、中には80mm越えを記録した亜種もいるようですが、スマトラ島のスマトラヒラタなどは100mmを越えるオスがそろそろいるようです。あれはてっきり別種だと思っていましたが、日本のヒラタクワガタの亜種のひとつであったとは驚きです。
 スマトラヒラタについては別項でも記述しましたが、ヤシガニとあだ名をつけてやったほど迫力のある大型の昆虫でした。ここまで差異があると、別種としても良いのではと思いました。って言うか日本のヒラタクワガタと普通に交配できるのか? と思ってしまいます。
 筆者は、これまで何種類の生き物を飼ってきたかを可能な限り詳しく付けておりますが、本種の亜種やカーペットパイソン(ヘビ)の亜種、コーンスネークとキングスネークの交雑種(生殖可能)については別種としてカウントしています。
 生物の種類分けというのはひじょうに困難を極める仕事です。最近はDNAもその判断基準に導入され、異論の入る余地が以前よりも狭くなったようですが、それでも絶対的な定義が難しいことが多いと思われます。昆虫ほどの高等生物ならまだしも、原生生物やバクテリア等では種類分け自体がナンセンスな世界になってきますし。
 亜種とされるものにも別種すれすれくらいまで隔たりがあるものもあるでしょうし、人為的に形質が変化して行った種々の家畜の"品種"といった概念になると、また頭痛の種になってきます。イヌなんてどうします? 食肉目イヌ科に属する動物の一種でタイリクオオカミを原種に持つイエイヌという亜種で、その品種はセントバーナードのような大型犬からチワワのような手乗りサイズにまで及びます。生物学的には同種の中の改良品種であってもセントバーナードとチワワとでは、もはや交配不可能でしょう。すべての家畜犬をタイリクオオカミの1亜種とするのも驚異的な話しですが、学術的な判断ではそうせざるを得ません。

 えっと、ヒラタクワガタのことでしたね。とにかく、この虫はアジアやインドネシアに広く亜種を擁する虫なのだよ、というお話しでした。



 全長34mmのオスです。ちさっ。大型のオスの半分以下のサイズです。これくらいのサイズのオスを自然界で見つけるのは、むしろ難しいと思われます。筆者も見たことがありません。



 さらに小さなオス。大腮が幅広に見えます。もはやメス化してますね。ライバルと闘争するよりも朽木に穿孔できそうです。ところが20mmくらいのミニマムなオスも存在するらしいです。大型個体よりもそれを見てみたいですね。飼育下で繁殖したものにはけっこう小さなオスが出現します。栄養価の低いマットなんかで適当に飼育していると発育不全のまま小さな個体が誕生することになります。



 こちらは70mm越えの大型のオス。飼育下でこれくらいのサイズのものを育てようとすれば、それなりの工夫が必要ですが、自然界ではむしろ大きな個体を見つけることの方が多いですね。もっとも最近の飼養技術では、自然界ではありえない程の大型個体も作出されているらしいです。



 メスです。大腮もすり減っていないし、前肢の符節も綺麗にそろっている繁殖未経験の新成虫です。これからオスとであって交配した後は、繁殖活動のために大きな労力を要する日々が待っています。



 今回は30cmのフラットタイプのプラケースを用意しました。マットに加水した朽木を埋め込んだ飼育環境を、ブリーダーたちは産卵セットとか呼んでいますね。昆虫ブームが興ってから長い歳月が経つ現在、良質なマットや朽木(産卵木)が市販されているので、クワガタムシの繁殖も容易になりました。このセットで3ペアを飼育しますよ。筆者が昆虫少年だった頃は、クワガタムシの繁殖なんて夢のまた夢でしたけどね。
 なんて言いつつ、豪快に失敗するなんて落ちも筆者はしばしば経験していますけどね。

コメント
コメントする








   
この記事のトラックバックURL
トラックバック

索引


目次

スネさん リーザさん けもの 庭虫
雑虫 クモ 直翅系 半翅系 膜翅系 鱗翅系 鞘翅目 毒虫 魚たち 無脊椎
両生類 カメたち 絶滅動物 くさばな 庭草 雑草 高山植物 飼育と観察 ヒト □飼育動物データ




    123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930 
<< November 2018 >>

サイト内検索

NEW ENTRIES


Amazon Kindle 電子出版のご案内
cover4.jpg


★講読には
Kindle 読書アプリ
が必要です。



sijn.jpg






recent comment

recent trackback

プロフィール

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM