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哺乳類の進化

 哺乳類は、中生代のはじめに獣形類という爬虫類の仲間から進化して来ました。そして1億年以上の長きにわたりネズミタイプの小動物からあまり進化しませんでした。初期の哺乳類はたいへん小さく、多くの昆虫類にすらサイズで負けており(当時の昆虫類は大きなものが多かった)、こんなものが滅びずによく生き残ったものだと呆れてしまうほどです。
 初期の哺乳類よりも、哺乳類の産みの親である獣形類の方が、ずっと進化的な哺乳動物っぽく見え、より大型で活発に活動し、種類も多かったようです。

 中生代の哺乳類は卵生でした。中生代中期以降に様々な動物に分化する過程で胎生を獲得する仲間が現れるものの、多くの種が卵生のままでした。哺乳類の特徴といえば胎生のイメージが強いと思いますが、それは新生代になってから顕著になった特徴と言えます。
 哺乳類が胎生よりも先に獲得した特徴は、毛皮で覆われた体と内温性、稚児に授乳する習性です。現生の卵生哺乳類である単孔類(カモノハシやハリモグラ)でも授乳しますから、哺乳類は進化してわりと初期の内に授乳を確立していたのでしょう。内温性も授乳と合間って確立していたと思われます。中生代の卵生哺乳類は、外温動物であったとする説もあるようですが、筆者はそれには反対です。
 哺乳類の毛皮は内温機能をカバーするためのものですし、授乳による育児には安定した内温性が必要です。
 母乳を飲むことで哺乳類の稚児は、発育に必要な栄養を効果的に摂取でき、急速に成長することができます。そして母親の安定した体温で保温されることで、成長がさらに助けられます。稚児の内温機関はあまり高出力ではなく、母親の温もりが必要不可欠です。体温維持を母親に依存することで、稚児はエネルギーの多くを発育に費やすことができます。
 とはいえ初期の哺乳類の内温機関は、あまり高性能ではなかったでしょうし、中生代の温暖な気候は不足分を充分に補っていました。それでも母親の内温機関は、外気温の変動から育児中の稚児を守り、稚児が順調に成育するのに貢献していたはずです。

 卵生哺乳類は初期の頃から、鳥類がするように抱卵の習性があったでしょう。母親の腹部には包卵域という独特の部位があり、卵を高温多湿の状態に維持しました。包卵域を湿潤に保つために水分を分泌する腺が発達し、やがて孵化した稚児もそれをなめて水分補給するようになりました。そして分泌する水分に栄養分を混入するようになったのが授乳の始まりです。
 授乳は、稚児の発育を助けるばかりでなく、母親の免疫力の受け渡しにも有効です。また、餌を採って来て稚児に与える労力を省くこともでき、その点で鳥類や爬虫類の育児(中生代の進化的な爬虫類には育児をするものもいた)よりも母親の負担も減り、かつ餌の確保に伴うリスク(稚児を残して留守にすることや、収穫が思うように得られないこと)も軽減でき、稚児の生存率は大幅に向上しました。
 中生代の脆弱な哺乳類が滅びることなく生き長らえ、新生代に子孫をつなぐことに成功した秘訣は、授乳によって稚児への滋養を安定供給できたことと、内温機能により稚児の体温を安定的に維持できたことにあったと思われます。稚児は母親の庇護の許で急速に成長し、早期に自立できるようになります。そして早々と繁殖に参加し、次の子供を育て始めるのです。稚児の生存率の向上、これこそが脆弱な原始的哺乳類が滅びずに生き長らえた秘訣だったわけです。

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