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哺乳類の進化放散

 哺乳類は鳥類よりも早く進化して来たにもかかわらず、その後の進化は遅々として進みませんでした。鳥類は恐竜の形質をよく引き継ぎ、それに飛翔動物としての能力を付加するという、言わば恐竜の発展型のような形で進化して来たので、初期の頃からかなり華々しい生活を送っていましたが、これに比べ哺乳類は先祖である獣形類の形質をあまり受け継がず、小型で原始的な動物としてスタートしました。
 それでも彼らなりにゆっくりと進化し、中生代中期ジュラ紀になると、いくつかの系統に分化し生活圏を拡大して行きました。化石によると、主に歯のタイプの相違でちがうグループに分けられる中生代の哺乳類ですが、スタイル的にはいずれもネズミタイプの小動物だったようです。
 ジュラ紀に分化したグループの1つ単孔類は、卵生哺乳類のまま今も生きながらえています。その他のグループはジュラ紀中に、あるいは次の白亜紀には滅んでいますが、その1つ汎獣類は白亜紀に滅びるまでに、後獣類と真獣類という2つのニュータイプを分化させています。
 白亜紀後期に進化して来た後獣類と真獣類は、新生代に華々しい進化発展を遂げる、言わば新時代の哺乳類で、それぞれの方法で胎生を確立しました。つまり、哺乳類が卵ではなく子供を直接産むという繁殖方法を身につけたのは中生代末になってからということです。
 胎生動物は、胎児と母親が胎盤と臍(へそ)の緒でつながり、酸素と栄養が血液を通じて母体から胎児へ直接供給されるという画期的な繁殖方法を確立したのですが、後獣類では胎盤の形成が極めて未発達かあるいはほとんど形成されず、胎児は発生初期の小さな段階で出産されます。現生の後獣類は有袋類のみで、母親の育児嚢(のう)の中に産み落とされた稚児は自力で乳首にたどり着き、育児嚢の中で自立できる大きさになるまで育てられます。現生のカンガルーやコアラそうですね。
 一方、真獣類は有胎盤類とも言われ、胎児を長期間育てる子宮が発達し、胎児は胎盤で母体とつながった状態で発育を続けます。進化的な有胎盤類では、自立できる大きさまで子供は子宮で過ごし、出産後すぐに母親について歩き、さらに母乳の供給を受けます。
 胎生では子供が充分な大きさに成長してから母体を離れるので、子供の生存率が格段に向上します。また、授乳は母子のきずなを深め、そこから社会性が育まれます。魚の群れのように同じ年齢の個体が集合するのではなく、年齢や世代の異なる個体が1つの社会で共存し役割分担を行なう、そんな社会生活が哺乳類ではよく発達しています。後獣類や真獣類では、狩猟や採集の役割分担、若い個体による育児のカバーといった高度な社会生活が見られます。

 中生代末期には、進化的爬虫類の衰退と反比例するように哺乳類の進化放散が進みました。そして新生代に入ると彼らの進撃を阻む爬虫類はほとんどいなくなるわけですが、代わりに恐竜の生き残りとも言われる鳥類が襲いかかりました。中生代にすでに進化的な動物として充分な特殊化を進め、内温機関と羽毛を発達させていて寒さにも強い鳥類は、事実上向かうところ敵なしで、多くの種が大型化を進めていました。
 しかしながら、飛ぶことに特化しすぎた鳥類は生活様式の多様化という点で限界があり、その点では哺乳類に利があったのです。ダイナミックではあるけれど小回りの利かない鳥類のすきを突いて、哺乳類はあらゆる環境に入り込むことに成功し、徐々に勢力を拡大し大型化も進めることができたのでした。
 鳥類の天下は短期に終わり、新生代は哺乳類の時代となりました。しかし制空権だけは譲らず、鳥類は今も多くの種を育みよく繁栄しています。

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