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待ち受け昆虫観察

2014/07/30


 今年の春、道端の雑草の観察に精を出していた頃から、夏は虫の観察が忙しくなることは予感としてあったのですが、春から初夏にかけての蛾の襲撃以降、虫の話しは尽きなくなってしまいました。道端の虫たちにカメラを向けているだけならまだしも、ネットの海で見つけた虫を買い求め飼育に精を出し始めたのがいけません。最近は爬虫類の飼育よりも虫の飼育の方が忙しいくらいです。10年ほど前にも多数の虫の飼育を手がけたことがありましたが、爬虫類の専用温室の前にたくさんの飼育ケースを並べたのは、それこそ10年ぶりくらいになります。やっぱ虫は面白いです。
 本著「萌萌虫雑記帳は」、爬虫類の飼育と陸棲動物の進化の話しを記述した「萌萌虫」というサイトに間借りして、ナチュラリストとしての日常を気ままに綴ろうと思って立ち上げました。飼育動物のことや、身辺で目撃した動植物について、写真入りの日記みたいなものを残せたらという思いで始めたわけです。
 その目的はおおむね達成できていると思うのですが、最近の虫の話しに関しては、自らの態度に疑問を覚えるというか、予想外の展開になってその深みにはまってしまったというか、やっててどうよというか、方向性を見失いつつあるというか、なんだか変なことになってまいりました。
 現役鉄道員である筆者は、会社に週に72時間拘束され、通勤に往復3時間を費やします。24時間勤務を週に3回繰り返し、非番の日に生き物の世話をするわけですが、翌朝の長時間勤務のことを考えると夜更かしもできませんし、非番の日の自由時間はそれほどたっぷりというわけにもゆきません。そんなわけで飼育動物の世話も、楽すること回数を減らすことに考えを巡らし、個々の生き物にたっぷり愛情を注ぐなんていとまはありません。
 哺乳動物に名前を付けて可愛がっている人たちからすると、筆者の飼育は単なるストックのようなものに見えるでしょう。
 また、自然観察においても、休日の度に近くの山に分け入るといった行為は皆無で、住まいが山岳地であることを利用して、自然が向こうから飛んできてくれるのを待っているだけです。目ぼしい生き物についてはネットの海で探します。多くの時間を自然と触れ合っている人たちからすれば、筆者のような態度は、ナチュラリスト失格なのかもしれません。
 でもね、筆者は虫取り名人やサバイバル名人を目指しているわけじゃないんですよね。目指すべきなんでしょうけど。筆者が目指すまでもなく、世の中には優れた虫取り名人や野山の達人が山ほどいて、ノウハウはどんどん蓄積されて行き、この分野の文化は充実して行きます。そこに筆者ごときができることなんて何もないと思えるのです。
 多くの達人たちに笑われますが、筆者のような待ち受け観察でも、いろんなことが学べるものです。庭を眺めているだけでも、去年はエノコログサやイネ科植物に悩まされたけれど、今年は春からヒメオドリコソウとカラスノエンドウの猛襲があり、今は例年以上にセイタカアワダチソウが繁茂しているという変化に気づきます。春から初夏にかけてのガの観察では、その種類の多さと、多くのガが真夏は活動を休止することを学びました。虫たちも年によって個体数が多くなる種類が異なったりします。自然は季節を繰り返しているものの、毎年同じではありません。
 そこにさらに生物の移動による変化も加わります。大発生した虫は棲息範囲の拡大に成功し、翌年には新天地で繁栄するかもしれません。人為的な生物の移動も自然に大きな影響を与えます。都会暮らしだけをしていますと、自然は人間によってどんどん失われているように思えるでしょうが、硬度経済成長期よりも現在の方が水や空気が改善された地域も少なくありません。
 能動的にお目当ての生き物を研究している方々は、往々にして自然環境の破壊や変化を憂いがちですが、批判ばかりでは得るものは多くありません。自然を壊さないためにしている行為が逆に自然を傷めていないか、自分の行動を見つめなおしてみることも必要です。
 そりゃ、虫取り名人や野山の達人はすごいと思います。うらやましくもあります。彼らからすれば自分は手足をもがれ、想像で野山を夢見ている病人のようにさえ思えてしまいます。でも想像力はしばしば研究や理論の確率の役に立ってくれます。このスタイルでやって来た以上、余生もこれで突き進むしかないのかもしれません。虫取りや野山の散策に充分な時間を費やせる人たちをうらやんでも筆者にとっての前進はありませんし。
 ということで、へんなカテゴライズで変なふうにまとめられた雑記帳は、これからも続き、その悪化の一途をたどることになります。今は少しでも長く続けて行き、記録を蓄積して行きたいと考えています。

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