爬虫類との付き合い

 爬虫類や両生類を飼育するには、孤独な環境を提供してやるのがいちばん、筆者はそう考えて来ました。それでも観察していると、つい可愛くなって必要以上に触ったり、手で直接餌を与えたりしてしまいます。
 筆者は、個々の動物に名前をつけたりすることはないですが(観察し記録するために個別に名前をつけたことはあります)、種名を愛称で呼ぶことは多いです。ヒョウモントカゲモドキはヒョウモン君、マリトゲオアガマはマリトゲ君、インドトゲオアガマは学名からウィッキー君といった具合です。基本"君"づけですかね。また、そうすることによって、爬虫類嫌いの家族の感情を和らげることもできます。爬虫類が嫌いな人でも、愛称で呼んで観察すると、彼らの意外な可愛いらしさを発見できるものです。もちろん飼っている本人も、彼らがますます可愛いくなりますしね。
 多くの爬虫類はひじょうに可愛い顔立ちをしていますし、仕種もめっちゃ可愛いかったりします。彼らは孤高な生き物なのだと解っていても、その可愛いらしさに信念が揺らいでしまいます。
 多くの生き物が、ひじょうによく人に慣れます。人の手から直接餌を食べるようになりますし、人を見ると駆け寄ってくるまでになる種も少なくありません。草食動物のために野菜を切っていると、調理が待ち切れずに駆けて来てパクパク食べ始める子もいます。慣れているというよりなついているとしか思えません。ほんと可愛いですね。

 ワニや大型のイグアナ等は、たいへん獰猛で力も強く、飼育には危険が伴います。しかし子供の頃から充分に触って可愛がって育てると、彼らはじょうによく人に慣れます。すっかり人に慣れた彼らは、人家で人のすぐそばでリラックスしてお昼寝したりと、それこそ哺乳動物と変わらない隣人ぶりを見せてくれます。ストレスもまったく感じていない様子です。
 こういった動物についてはむしろ、幼い頃からたっぷりかまって育てる方が良いですね。人間に慣れないまま大人になった個体は、凶暴過ぎて手がつけられないです。
 鳥や哺乳類と同じで、爬虫類も子供の内に人に慣れさせないと、成体からの教育は困難です。ということは、冷血で他人とのコミュニケーションをとれないと言われている爬虫類にも哺乳類と同じような学習能力があるということなのでしょうか。なんだか不思議です。自然界では社会生活とは無縁のはずですからね。
 筆者と同じように、爬虫類に個人的な愛情を注ぐことは無意味だ、そう考えている人(たぶんそんな人の方が少数派なのでしょうが)は、もう少し柔軟な考え方をした方が良いかも知れません。専門知識だけをたくさん蓄えて、科学者気取りをしていても、いつもそれが正しいとは限らないのです。
 ある時、飼っていたヒョウモントカゲモドキが脱走してしまったことがあります。家の中だったので、家具の裏とかに潜り込んでしまい、捕獲は不可能に思えました。僕が留守をしている間の事故だったのですが、僕が帰って来てしばらくすると、彼はタンスのすき間からチョコチョコとはい出してきたんですね。妻が言うには、聞き慣れた僕の声に安心して出てきたというのです。そうなのでしょうか? 僕には解りません。ただ、妻の主張を否定もできない、そう思いました。
 また別のケースでは、僕や家族が近づいてもまったく警戒しないフトアゴヒゲトカゲが、ある来客に対して猛然と威嚇行動を始めたのです。飼っていた2匹ともそろってです。怒りのために下顎がまっ黒に発色しました。飼育下でなかなか観られない生態です。その来客はディープな愛煙家で煙草の臭いプンプンだったのですが、それがトカゲたちの警戒心を喚起したのかもしれません。僕がトカゲたちを抱き上げて、安心するように説得すると、間もなく威嚇行動を解除し、来客に対する警戒心もなくなりました。これもなんだか不思議な出来事でした。
 幼体の頃から飼っていたアカアシガメ(リクガメの一種)も、筆者を見るといつも走ってきて、水槽のガラスに激突していましたし、野生採集個体だったエジプトトゲオアガマや人に慣れることはないと言われるグリーンパイソンも、今では筆者を見ると寄ってきて餌をねだります。飼育にはたいへん理想的な状況なのですが、もともと孤独生活者である彼らが、どうしてここまで人に慣れるのか、不思議で仕方がありません。

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