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卵の管理

2013/08/21


 あるサイトによると、ヘビの飼育下での繁殖には、人工孵化と自然孵化があるそうです。筆者としてはどちらも飼育下での出来事だから同じと思っていましたが、サイトの説明を読んでなるほどと納得させられました。
 人工孵化とは卵を取り上げて親から隔離して管理するやり方で、自然孵化とは卵を親と同居させたまま放置し、孵化まで管理を親に任せるというやり方だそうです。抱卵の習性のあるヘビの場合は、母親は孵化に至るまで卵を抱いて管理しますから、飼育下でもその方が良いように思えますが、多くのヘビの抱卵の習性はけっこう曖昧で生態としては痕跡程度の場合が多く、途中で抱卵を放棄してしまうケースも少なくありません。なので、飼育下での繁殖率を高めるには、卵を親から隔離して管理するやり方の方が適切です。実際にほとんどの飼育者あるいはブリーダーが人工孵化に依って繁殖を手がけていると思われます。
 アオダイショウの場合も、自然孵化にはあまり期待できないと思います。場合によっては一旦卵を離れた母親が、再び卵を見つけるとそれを食べてしまうこともあるでしょう。筆者もネルソンミルクスネークで、母親による食卵を経験しています。あの時は、自然孵化に挑戦したわけではなく、母体に卵が残っている気がしたので、卵をそのままに産卵床のあるケージにメスを戻したのですが、それがあだとなってしまいました。
 筆者のところで自然孵化で繁殖に成功した例としては、トランスペコスラットスネークがあります。しかしメスはずっと抱卵していたわけではないし、卵がシェルターにある間もふつうに採餌していました。メスによる卵の管理なんてほとんとなかったと思われます。今後は自然孵化を試みる予定はありません。ただ、トランスペコスの自然孵化で判ったことは、卵が思っていたより乾燥に耐えるということです。シェルター兼産卵床には一部に出入り口を設けたタッパーを使用し、それなりに保湿性はありましたが、卵は敷いてあるミズゴケの上に無造作に産み落とされた状態で、そのミズゴケもそれほど充分に加湿してはありませんでした。

 ヘビの卵の管理は、日本や北米のナミヘビの場合はいずれも同じ方法で良いと思います。卵を見つけたらすぐに親から引き離して別の容器に移しますが、孵化床となる別容器には、充分に加水したミズゴケをたっぷり敷き、その上に卵を取り上げた状態のまま置きます。卵は上下を逆にせずにそのままの状態を保つことが重要であると言われています。爬虫類の卵の管理はすべてこれを守ります。ただ、筆者のニホントカゲの人工孵化の経験では、卵の向きを無茶苦茶にしてもすべて孵化したので、この考え方の是非は解りません。
 高温多湿を維持するために、容器は通気孔を小さくし、中が蒸れ蒸れ状態になるようにします。筆者の場合は、15cmくらいのプラケースをよく利用します。昆虫の飼育等に用いるお馴染みのやつですね。フタが網状になっていて通気性抜群なので、ラップをかませ、4隅のうちの1部だけラップを折り返して小さな通気孔を作っておきます。多湿にしておけば温度変化がゆるやかになって卵の中の胚の生育が良好に保てます。気温が25℃ていどからそれ以上ある季節では、そのまま常温で管理します。やむなく気温変化の大きな場所で管理する場合は、容器をさらに大きな容器に収容し、温度変化がゆるやかになるようにします。容器の半分くらいが浸るように水を張ってくのも良いでしょう。高温が良いからと容器を日光浴させてはいけません。直射日光は大敵です。
 多くの場合卵は数個がくっついていますが、そのままのミズゴケの上に乗せ、卵の固まりの上にもうっすらとミズゴケを被せておくとよいでしょう。
 卵は時々観察する必要があります。無精卵や死卵を見つけたらすみやかに取り除きます。それらにはカビやダニ、小さなハチやハエ類の幼虫が湧き、その害が健康な卵にも及ぶことがあります。健康な卵だけの場合は、カビも害虫も湧きません。不思議ですね。うまくなっているものです。
 産卵からしばらくの間は頻繁に観察して死卵があれば取り除きますが、その後はあまり観察する必要はありません。見たければ見ればいいですが、観察のせいで温度変化を大きくしてしまわないように。そして産卵後40日を過ぎた辺りから、またちょくちょく観察して見ましょう。卵は丸く大きく膨らみ、いよいよ孵化が近づきます。
 卵はけっこう頑健なので、温度や湿度の管理にそれほどナーバスにならなくても大丈夫です。できれば写真を撮っておいて、卵の変化を比べると良いですね。鳥類の卵とちがって爬虫類の卵は外形の変化が大きいのでおもしろいです。ナミヘビの卵の期間はおおむね50日ていどですが、管理温度のちがいによってかなりの誤差が生じます。高温の方が胚の成長も早くなります。早く孵化を観たいからとヒーター等で管理温度を上げるのは考えものです。ヒーターを用いるなら、いっそのこと高価な孵化器を導入した方が良いです。筆者もそのうち購入しようと思っています。なんか、専門家っぽくてカッコいくね? 一定温度の維持はもちろん、給水により湿度も保ってくれ、大きな観察窓で卵の生育もよく見れます。鳥類と兼用のものでは転卵機能があったりしますが、その機能は使用しちゃだめです。
 こうして、大切に管理し大きく膨らんだ卵はいよいよ孵化を待つだけです。その至福の瞬間にはぜひとも立ち会いたいものですね。

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