ミンミンゼミ2
2014/08/20
17〜18日に東京へ行ってまいりました。連日の猛暑が報道されていた今年の東京ですが、たまたま曇りがちで暑さはそれほど過酷ではありませんでした。
いくつかの文献にミンミンゼミは傾斜地の林を好むとありますが、筆者の住む能勢山系ではかなりそれを実証しています。飼育中のタケカレハの餌を採りに行く山の斜面は、登るのも困難なほとんど崖のようなところですが、筆者が斜面の下でせっせとタケの葉を採っている間ずっと、ミンミンゼミが啼いています。
ところが東京では、ひじょうに都会化が進んだ多くの場所でミンミンゼミの声を聞くことができました。JR山手線の恵比寿駅付近、東京メトロ六本木駅付近、明治神宮の境内、その他山手線のいくつかの駅でも電車の中にいても開いたドアからミンミンゼミの声を確認できました。
一説によると、ヒートアイランド現象で、東京の都会の土地は、水はけがよく日当たりのよい山の斜面のように乾燥高温になっており、そのことが本種の生息に適した環境を提供しているのだそうです。実際、ミンミンゼミの声があまりにも頻繁に聞けたのでちょっと感動しました。東京すげぇ。関西では本種の生息地は限定的であることが多いです。
ミンミンゼミはまた、アブラゼミとの共存を避ける傾向にあるそうです。つまり東京ではアブラゼミの勢力が強くないということなのかも知れません。関西では、アブラゼミとクマゼミが同じ場所で、啼く時間すなわち繁殖行動の時間に差を設け、時間帯で棲み分けているのが見られますが、こうした場所にはミンミンゼミはいません。
これら3種のセミの啼き声は、明瞭に区別できますが、じっくり観察していると、啼き始め啼き終わりにかなり似通った部分があり、聞きなれている人の方がだまされるようなところがあります。繁殖行動において、3種は場所や時間帯で棲み分けをした方が効率がよくなるのでしょうか。
アブラゼミとミンミンゼミは共存しないそうですが、筆者が思うにミンミンゼミにとってはクマゼミの方が相性がよろしくないように思えます。両者は啼く時間帯もかなりかぶりますし、音質がひじょうにに通っています。高速再生するとクマゼミに、低速再生するとミンミンゼミに聞こえる、そんな音質を発しています。
ある説では、クマゼミの勢力が終息に向かう頃からミンミンゼミの最盛期が始まるとのことですが、これは疑わしいと思います。やはり場所で棲み分けていると思います。
ミンミンゼミは、どちらかというと森林性で暑さにもそれほど強くないと言われますが、東京では酷暑の環境で精力的に啼いていました。この地方の個体群はかなり暑さへの耐性を備えるようになったようです。ヒートアイランド現象が問題視される都会では、緑化がさかんに行われ、そのことも本種の勢力を促す結果になっているのでしょう。
それにしてもセミって暑そうに啼きますよね。夜の虫のように涼やかに啼けないものですかねぇ。