秋の啼く虫15連発(5)
イソカネタタキ
関東以南に分布し、日本海側には生息が確認されていないそうです。比較的温暖な海岸沿いの林などに棲んでいますが、棲息地はかなり限定的になると思われます。カネタタキよりもやや大型で、明るい褐色の体表面に鱗片を有します。メスは無翅で、オスには極短い翅があり、これで小刻みな啼き声をたてます。成虫は8月から11月頃まで活動します。コオロギの仲間としては、活動期間が長い方です。府県により準絶滅危惧種に指定されているようです。
2005年に千葉県の方に野生採集個体を数頭送っていただきました。こういうレアな、しかも微細ですばしこい虫を採集する技術ってすごいですね。

上の写真は、おそらく終令幼虫です。本種やカネタタキは翅がたいへん小さいので、終令幼虫と成虫を見分けるのがちと困難ですね。

飼育レイアウトは、同時に飼育していたカネタタキと同様。昆虫マットを敷き、セイタカアワダチソウの茎を短く切って刺し、餌は櫛刺しの野菜と肉食系のドライフードです。

オスです。カネタタキよりも明るくて赤みのある体をしていて、翅がひじょうに小さく目立ちません。でもこの小さな翅でけっこうよく響く啼き音を聞かせてくれました。

メスです。翅がありません。大きなお腹をしているので、産卵および繁殖を期待したのですが、けっきょくダメでした。
2005年の啼く虫の飼育では、ことごとく繁殖に失敗し、これまでスズムシやエンマコオロギの飼育繁殖でコオロギ類を舐めてた筆者は、その難易度の高さを思い知ったのでした。