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秋の啼く虫15連発(12)
ハタケノウマオイ


 スィーッチョンという個性的な啼き方で有名な虫ですが、同属にハヤシノウマオイがおり、これは啼き声がいくぶん長い調子になりうようです。古くはハヤシノウマオイをヤマウマオイと称し、本種をウマオイと称した専門書も多かったです。ハヤシノウマオイは森林やその周辺部に多く観られ、本種はより平野部に生息しますが、必ずしもそうとは限らず、山がちなところに本種を見かけることもあります。キリギリスの仲間としては大きくありませんが、肉食性が強く種々の虫やカエルを捕食します。



 子供のころ筆者は、啼く虫は草食性だという認識がありました。ある時、福井県の田舎でこの虫を捕まえた幼少の筆者は、ニイニイゼミと一緒に虫かごに入れ、キュウリを与えていました。結果がどうなったかが申すまでもありませんね。本種の6肢にはひじょうに大きく鋭い棘がたくさん生えており、これで捉えた虫をしっかりとホールドして放さず、バリバリとむさぼります。自分より大きな虫でも守備範囲です。



 飼育レイアウトとしては、高さのあるプラケースに昆虫マットを敷き、足場として模造の植物を入れました。深さのある容器にジャンボミルワームを入れて与えましたが、一向に食べてくれません。
仕方がないので、生きたフタホシコオロギを与えましたが、仲良く共存していました。串に刺した野菜はよく食べていました。なんだか納得できません。子供の頃に捕まえたのはじつはハヤシノウマオイで、本種は捕食性が強くないのでしょうか。そんなはずはありません。



 オスです。綺麗な声でよく啼いていましたが、オスたちは10月までに死滅してメスだけが残りました。オスの死骸、あるいは瀕死のオスはメスの餌食になっていました。



 メスです。ひじょうに捕食性が強い虫だという認識があったので、雌雄の同居さえも最初は不安だったのですが、2ペアを問題なく飼育できました。メスたちは10月半ばまで生き長らえ、産卵に至りました。



 地中に産み落とされた卵です。キリギリスやコオロギの仲間のうち地中に産卵する種は、硬いものに沿って産卵管を土に刺す傾向があり、このようにプラケースの外から卵が観察できます。まるで人間が観察しやすいように配慮しているようです。



 残念ながら、翌春になっても幼虫は孵化しませんでした。2005年の啼く虫の飼育では唯一のキリギリス類でしたが、コオロギたちと同様、繁殖に関しては惨敗をきしました。

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