エベノーヘラオヤモリ
2014/09/03
マダガスカル北部・ノシベ島に棲息する小型の樹上性ヤモリです。背中が隆起した体は枯れ葉そっくりでじっとして動かないとほぼ完璧な擬態を呈します。高湿度に加えて昼夜の温度差が激変するという特殊な環境に棲息しているそうです。
2002年の夏に懇意にしていたショップで購入しました。夜行性で動きは緩慢です。餌は生き虫ですが、コオロギのような俊敏な虫はなかなか手に負えないようです。樹上をはい回るゴキブリやイモムシのようなものが理想的ですが、当時はミルワームを小皿に入れて与えていました。
ニホンヤモリやヒルヤモリのように俊敏でなくて扱いやすいのですが、飼育環境をうまく仕立ててやるのがなかなか困難です。餌も小皿に入れたミルワームでは見つけるのに苦労するでしょう。なにせ典型的な樹上性動物ですから。
同じマダガスカルの近縁種のエダハヘラオヤモリでは、枯れ葉そっくりの大きな尻尾を持っていますが、本種はご覧のように尾はひじょうに小さいです。エダハは怯えるとすぐに尾を自切してしまい、立派な尻尾がかなり無駄遣いになっていますが、本種はもともとそういうものを持ち合わせておらず、体全体で枯れ葉を表現しています。
体色にはかなり個体差があります。この個体は樹皮にオレンジ色の地衣類みたいなものが付着したような色合いです。
こちらは単色系。目の下にクリーム色の涙紋があります。
本種をうまく飼うには、日中は高温で乾燥気味、夜間は低温多湿という環境が必要であると思われます。それも小さなケージで昼間何時間も高温乾燥を維持するのではなく、低音部も設けた温度勾配のある広いケージが必要でしょう。小さなヤモリですが、小さなケージでうまく飼うことは困難でしょう。