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コオロギの管理

 ミルワームやジャンボミルワーム、あるいはその他の幼虫類よりも上質の生き餌として専門家たちに支持されているのがコオロギです。ピョンピョンと跳びはね、よく動き回るこの虫は確かに飼育動物が高い嗜好性を示します。ケージにコオロギを放ったとたんに、トカゲやカエルたちはそれを追い回して捕食します。
 栄養価の面でも、コオロギはミルワーム等よりも優れているそうです。でも昆虫類特有のカルシウム不足はコオロギとて同じで、けっきょくサプリメントでそれを補うことになります。
 餌用に市販されているコオロギは、フタホシコオロギとヨーロッパイエコオロギという2種があり、いずれも年中いつでも繁殖が可能で、冬場でも加温してやれば繁殖します。家庭での繁殖も難しくなく、充分な設備を用意でき、管理の手間を惜しまなければ、どんどん増やすことができます。
 コオロギは雑食性で野菜でも動物質でも何でもよく食べます。どちらかというと動物質を好み、煮干しやカツオブシ、熱帯魚用の人工飼料などを、あきれるほどの食欲でバリバリ食べます。水もよく飲みます。そして何回か脱皮を繰り返して成虫になり、繁殖を始めます。

 コオロギの管理はたいへん手間がかかります。ショップの店員さんや専門書によると簡単に飼えて世話も楽チンだそうですが、実際はちがいます。少量のコオロギを短期間ストックする分には大して手間もかからないですが、トカゲやカエルを何頭も飼っている場合は、大量のコオロギを長期間ストックする必要がありますよね。そうなると設備も手間もたいへん大きくなります。
 コオロギはよく食べよく糞をするので、飼育環境をすぐに汚してしまいます。飲み水もすぐに汚してしまうので、頻繁に取り替えてやらねばなりません。汚れた飼育環境はたいへん臭いです。
 コオロギはまた、よく鳴きます。昼夜を問わず年中無休で鳴いています。市販されている餌用のコオロギは、リリリッ、リリリッと目覚まし時計の電子音そっくりの音を発し続け、音量もかなりのものです。つまり、コオロギをストックしている場所は、延々と目覚まし時計が鳴り続けているようなものです。ちょっとおおげさかも知れませんが、決して静かなものではありません。
 臭くてうるさくて、よく死にます。よく共食いもします。せっかく繁殖した若い個体が脱皮中に古い個体にバリバリ食われたりします。飲み水で溺死したり、モノに挟まって死んだり、餌として使用しなくてもどんどん減って行きます。
 そして脱走の名人です。メンテナンスのために人が手を加える時に、人の手や服にくっついたりして脱走してしまいます。飼育動物のケージに放り込んでからもそこから脱走します。
 そして脱走したコオロギは、人家の中に侵入し、家具のすき間や天井裏に入り込んで、目覚まし時計よろしく鳴き始めるわけです。とくにヨーロッパイエコオロギは、イエコオロギというだけあって人家が大好きで、外で逃がしても家に上がり込んで住み着き、元気に目覚まし音を鳴らし続けるのです。
 こうした数々の弊害を克服し、きれいに飼う方法はあります。大きな設備で注意深くしっかり管理すれば、良好なコンディションを維持し、死亡率もうんと低減できます。繁殖や幼虫の世話用にいくつもケージを用意できれば、順調に増やすことも可能です。
 しかしながら、コオロギの理想的な管理には労力と経費をたっぷりかけねばならず、それを餌とする飼育動物の世話の方がはるかに楽です。ペットよりも餌の管理に手間とお金をかけなければならないってどうよ? ま、それも飼育動物の世話の一部なんですけどね。

 そんなわけで、筆者はコオロギを餌として使用するのはこりごりなのです。たまに小さなトカゲの繁殖時に幼体の飼料として小さなコオロギを少量買ってくるくらいかな。でも小さなコオロギってかなり割高だったりします。頭痛いですね。誰かトカゲたちが好んで食べる動物性人工飼料とか開発してくれないですかね。
 考えたんですけど、動物性タンパク質の人工飼料自体は容易に作れると思うんですよ。ただ、飼育動物がそれを生きた虫だと認識しないから食べないんですよね。それなら餌を動かしてやればいいんじゃないかなぁ。電動で振動する皿なんかに餌を入れておけば、それを生きた虫だと認識して食いついてくれないでしょうか。爬虫類や両生類は視力が優れていて、動く物体にはたいへん敏感なので、もしかしたら上手く行くかもなのです。

ゴキブリの飼育

 大きな虫の話しになりますが、外国産の大型のゴキブリの仲間には、飼育繁殖と長期管理がかなり容易なものがいます。デュビアといわれるゴキブリは、まとまった数をケージに入れておくとどんどん繁殖します。後尾を終えたメスは幼虫を直接出産し、生まれた幼虫はそのまま親と一緒に飼えます。最初のうちはあまり増えないかもしれませんが、しばらくすると爆発的に繁殖します。しかもコオロギのように飼育環境を汚さず、ケージの掃除とかもあまり必要ありません。餌と飲み水を供給し続けるだけでどんどん増えるのです。
 同じように飼育繁殖できるゴキブリはたくさんいますが、高い湿度を必要としない種が良いです。保湿のために土を敷いたりする必要がないので大変衛生的です。
 マダガスカルヒッシングローチというゴキブリは、手の平サイズくらいになるばかでかい虫で、かなり大型の飼育動物に与えられます。デュビアと同じように飼育繁殖ができます。
 これらの乾燥系で胎生のゴキブリの飼育はたいへん楽です。適当なプラケースに地形効果をほどこしてやり、その中にゴキブリを入れておくだけです。厚紙(表面がざらざらしたもの)などを適当に切ってグシャグシャにし、それを放り込んでおくだけで理想的な地形効果が得られます。最近は入手困難ですが、紙製の玉子パックは地形効果として大変理想的ですね。地形効果によってゴキブリが歩き回る表面積を大きくしてやれば、繁殖して個体数が増えても対応できます。
 餌は、コイや金魚の粒餌、熱帯魚用飼料、爬虫類用飼料などの乾燥した餌を適当にばらまき、減ったら補充します。浅い水皿に飲み水を用意してやりますが、板状のスポンジに水を染み込ませた状態を維持しましょう。水たまりを作ると小さな幼虫が溺死することがあります。
 筆者は飲み水は用意せずに昆虫ゼリーで水分を摂らせるという方法を採っています。昆虫ゼリーというのは、カブトムシやクワガタムシ用の人工飼料として市販されているミニサイズのカップ入りゼリーで、数百匹のゴキブリに対して数個の昆虫ゼリーを適当に転がしておけば良いです。ゼリーのフタは開けずにカッターで十字の切り目を付けておくと良いです。暖かい時期には数日を経ずしてすっかり食べ尽くされます。なくなれば補給します。昆虫ゼリーは、滋養と水分の両方を補填できて良いですね。

 上述のゴキブリたちはガラスやプラスチック面をよじ登れないので、飼育動物に餌として与える時は、少し深めの皿かタッパーにでも入れてやればケージの隅っこに潜りこんじまったりするのを防げます。
 飼育繁殖もたいへん容易なうえ、あまり世話をやかなくても奇麗に飼えるので申し分ないのですが、飼育動物用の生き餌としていまいち人気がありません。ゴキブリそのものが日本人にとって可愛くないイメージが強いからでしょうか。実際に外国産のゴキブリたちを目にすると印象が刷新されると思うんですけどね。でもそれよりも餌として不向きな要素がありまして、彼らは日本のゴキブリとちがって全然活発じゃないんですよね。餌皿の底にへばり付いたままあまり動かないため、飼育動物たちが生き餌として視認しにくいのです。飼育動物が飼育環境と飼育者にすっかり慣れ、人を見れば餌を期待するような状態まで飼い込んだ個体なら、給餌の際に駆け寄って来て、動きがにぶい餌にも気づいてくれます。あるいは、ジャンボミルワームと一緒に入れてやると、一緒になって動き回ったりします。……つまり管理は楽だけど餌として与えるのにちと苦労する餌と言えるかも知れませんね。

生き餌との奮戦

 恒温動物とちがって餌の摂取量が少なく、運動量も少なく静かで飼育環境をあまり汚さない変温動物は、それ自体の飼育はたいへん楽だと言えます。ただ多くの場合、餌が生きた虫なんですよね。両生類全般およびトカゲの仲間の大半の飼育において生きた虫の準備は欠かせません。考えてみれば、爬虫類や両生類の飼育においていちばん大変なのが生き餌を用意することかも知れません。
 筆者は、爬虫類や両生類以上に、昆虫類やクモ、サソリ、ムカデやヤスデといった様々な虫を飼育してまいりました。なので、虫の飼育や繁殖は得意分野なのです。それなのに飼料として大量の生き虫を管理するとなると、その手間にうんざりしてしまいます。大量生産大量ストックには、お金と労力と、それに充分なスペースが必要になりますから。
 今のところ、安価で大量ストックも容易な生き虫といえば、別項でも取り上げたミルワームとジャンボミルワームですが、小さなトカゲ類の飼育と繁殖に向かない場合があります。指先に乗るようなサイズのトカゲには、ジャンボミルワームは大きすぎますし、ミルワームは餌としていささか硬すぎるのと、動きが悪くて飼育動物の嗜好性が低くなる場合が多いのです。小型トカゲの生後間もない幼体にはミルワームでも大きすぎることがあり、その時は他の虫を探すしかありません。
 微細な生き餌としてショウジョウバエを利用することもあります。古くなったバナナなどを空ビンに入れて放置しておくと、いつの間にかコバエがわいていますね。あれを生き餌として利用するのです。ショウジョウバエは昆虫ゼリーなどで飼育繁殖も可能です。また、羽はあるのに飛べないように品種改良された餌用ショウジョウバエを市販しているところもあります。飛んで行かないので、飼育動物が捕食しやすく、ケージからの餌の脱走も減ります。便利ですね。
 ショウジョウバエは万一逃がしても餌用コオロギのような弊害がないので安心です。ただ、栄養価が低いようで、飼育動物の幼体の発育用には心許ない気もします。ハエに対してもガットローディングで栄養をつけてやると良いですかねぇ、筆者はやってみたことがないです。
 飼育動物のサイズに応じた理想的な生き虫を見つけてストックするのって本当に大変です。他にもトビムシやシミの仲間を餌として利用する方法もありますが、これらの虫の管理にはちょっとしたコツがあって、それをつかむまでは長期ストックは難しいかもしれません。

 生き餌の問題は、理想的なサイズを求める意外にも、飼育動物が逆に食われるという心配もあります。ケージに放り込んだコオロギが捕食をまぬがれて生き延びた場合、昼行性のトカゲが夜スヤスヤと眠っているうちに、そいつをバリバリかじり始めるなんてことが時たまあります。コオロギは動物食嗜好が強いですから。
 あるいはカエルに丸呑みされたジャンボミルワームが、カエルの腹を食い破って出て来るなんていうエイリアン事件も時たま発生します。怖わっ。爬虫類はおおむね餌をかみ砕いて嚥下するのでまず大丈夫ですが、両生類は歯が発達してなくて丸呑みなので、エイリアン事件が起きることがあるのです。筆者は経験したことないので、気にせず与えていますが、けっこうよくある話しだと聞きますよ。あるいは腹を食い破らなくても、胃の中を噛みまくって体内に怪我を負わせているかもです。
 エイリアン事件を防止するには、生き虫の頭をブチッとつぶして与えると良いのですが、頭をつぶされた生き虫は動きが鈍くなるか、まったく動かなくなるので、少しでも動きがある内に気づいて食べてほしいものです。餌が絶命してしまった場合には、ピンセットでつまんで動かして、飼育動物の関心をそそるのも手です。

 というわけで、生き餌を用意するというのはなかなか大変なわけで、本著を読んで、生き餌を必要とする動物の飼育を断念する方があるかもしれませんが、それは早計というものです。ぶっちゃけ、経験と慣れです。飼いたいの一念があれば何とでもなります。多くの初心者の方が、しかも生きた虫なんて無理とおっしゃられた方々が、案外すぐに慣れてしまって、生き虫で飼うのがいちばん簡単だと豪語するようになります。勉強熱心な方は、いつのまにか知識を蓄えて筆者にいろいろ教えてくれるまでになります。素晴らしいですね。

アルビノの話し

 アルビノというのは、動物の体色素から黒色が欠落する変異型のことで、珍しいと言えは珍しいのですが、むちゃくちゃ珍しいというわけでもありません。自然界でもひじょうに多くの動物でこの変異型が見られ、脊椎動物から節足動物、軟体動物に至るまで、アルビノを輩出しないグループを探す方が難しいほどです。
 黒色色素が欠落すると、もっとも顕著な例では体の色が真っ白になり、黒目は鮮やかな赤になります。白うさぎがその好例です。
 他にも、ホワイトタイガーや、白いハツカネズミ、国産のシロヘビ(アオダイショウのアルビノ)も有名ですね。ところが同じ白い体の持ち主でも、ホッキョクグマやハクチョウはアルビノではなく、もともと白色の体に進化した動物です。まぎらわしいですね。あと色白の女性をアルビノ傾向があるなんて表現するのも間違いです。
 アルビノという形質は、変異型としてはひじょうによく遺伝しよく発現します。アルビノ個体同士を掛け合わせると、やはりアルビノの子が生まれます。筆者は、インドヒラマキガイという水棲の軟体動物で実験したことがあるのですが、偶発的に出現する小数のアルビノ個体ばかりを集めて飼育し何代も交配を繰り返すと、アルビノしか出現しなくなり、その中でもきわめて変異の大きいものをよりすぐる内に、筆者の水槽には鮮やかなルビー色の貝でいっぱいになりました。ちと学術的な表現をすると、人為淘汰によってアルビノ品種を作出したということになります。これも今では珍しい品種ではなくなり、ルビー色のインドヒラマキガイはペットとして市販されています。
 インドヒラマキガイは、原種は黒っぽい巻き貝ですがもともと赤い色素をたくさんもっており、黒色色素が欠落することで鮮やかなルビー色になります。アルビノ変異を生じやすい動物の多くが、黒色色素の欠落によって赤や黄色が強く発色する傾向にあり、これらの要因でピンクやオレンジ、黄金、あるいは赤黄白の美しい斑紋などが現れます。

 アルビノの個体の多くは、ひじょうに美しいので、ペットとしても高い人気を博しています。またひじょうに多くの動物がこの変異型を生じ、読者や筆者が知らない意外な動物にアルビノの発現例があるので、いろいろ調べて見るのも楽しいですよ。
 爬虫類や両生類にも、ペット化されているアルビノ品種はひじょうに多く、爬虫類の愛好家でアルビノのヘビやカエルを見たことがない人なんていません。コーンスネークのようにアルビノじゃない個体を探す方が難しいほど、アルビノ品種が定着しているものもいます。
 筆者もこれまでに多数のアルビノ品種と出会ってまいりましたが、どれもたいへん美しく、美しくない例を思い出すことができないほどです。そして多くのマニアがアルビノに魅せられています。

 アルビノ個体は虚弱であるとか、赤目は視力が弱く生きてゆくのに不利なので長生きしないとか、聞いたことがあります。確かに自然界では鮮やかな体色は目立ちすぎて、天敵に発見されやすかったり、獲物に逃げられたりしやすいのかも知れません。しかしながら飼育下では美しいことが不利になることはなく、筆者がこれまでに飼育したアルビノ個体で、健康上の問題があったり、採餌が困難であったり、あるいはノーマル個体との同居でいじめられたりといった例を見たことがありません。繁殖においてもまったく問題はなく、アルビノが虚弱というのは正しい知識ではない気がします。
 ということで、財力に余裕があり、美しいモノ好きな方は、アルビノコレクターを目指すのもよろしいかと思います。

野生動物と寄生虫

 野生で生活する動物は寄生虫や病原菌と無縁ではいられません。彼らは餌を消毒したり加熱殺菌したりするわけではないので、これらの侵入者を効果的に防ぐことができません。
 自然界では、彼らはおおむね侵入者と上手く付き合っており、採集したばかりの野生動物はたいていの場合は良好な健康状態を保っています。ところが飼育下に置かれると、急に健康を害してしまったり、若齢の個体であれば発育不全を来たしてしまったりというケースがけっこうあります。
 病気に感染している個体では、細菌の毒性が高い場合は、顕著な症状が見られるので、飼育は避けるべきでしょう。一見して症状が判らなくても、病原菌が潜伏して発病を待っている場合もあるので、野生採集個体は飼育中の動物との同居は避け、その個体が良好なコンディションになるまで単独飼育します。このことを専門家はトリートメントとか言います。
 病気の個体はけっこう短期間に症状が現れる場合が多いですが、寄生虫の場合は発見がひじょうに難しいです。ダニのように体表に着く虫は注意深く観察することで発見でき、ブラシでこすりとったり、温水浴させたりといった方法で駆除しますが、体内の消化器にわく虫は見つけにくいです。

 野生採集動物が飼育下で健康を維持できなくなる最大の原因が寄生虫であるといわれます。野生で暮らしている間は腹の中の寄生虫と上手く付き合っていても、人工的な環境に置かれると、ストレスやさまざまな要因で寄生虫に負けてしまうようです。
 動物は種類や個体の差異によって、飼育環境にすぐ馴化し人にもよく馴れるものと、そうでないものがあります。いわゆる飼いやすい動物とそうでないものがあるわけですが、飼いやすい動物でも寄生虫には負けてしまう場合があります。
 寄生虫が原因でコンディションを崩すていどは様々で、外見上ほとんど問題が認められないまま長く飼える場合もありますし、どんどん食欲をなくし、やがて死に至る場合も少なくありません。餌をたくさん食べる子供がちっとも大きくならないこともよくあります。

 体内の寄生虫と無縁でいたいならば、野生採集個体は飼育しないことです。日本に棲んでいる動物で、飼いやすい種であれば、案外問題なく長期飼育が実現しますが、ショップで市販されている輸入動物の野生採集個体は、飼育を始めて間もなくコンディションを崩してしまうことが少なくありません。餌を食べなくなり、どんどん痩せて行き、やがてそっと息を引き取ります。
 変温動物は、餌を採らなくなっても急に痩せて行くことはありません。痩せ始めたらかなり深刻な事態であると認識すべきでしょう。一度痩せ始めた個体は、充分に餌を食べさせることができてもなかなか回復しません。
 飼育者の知識の低さで命を落とし、もともと弱い個体だったなんて片付けられてしまう動物たちのことを考えると悲しくなります。ショップや情報誌等は、動物の魅力を伝えるだけでなく、傷病に対する知識ももっと広げるべきですね。

寄生虫と対策

 体内寄生虫の飼育動物に与えるダメージはひじょうに深刻な場合が少なくありません。それを回避する最良の手段は、野生採集個体を飼わないことです。寄生虫は細菌ではないので、感染はしません。しかし寄生虫を持っている個体の糞には、寄生虫やその卵が含まれるので、同居している他の個体が、直接あるいは間接的に糞を口に触れるようなことがあると、寄生虫をもらってしまうことになるでしょう。
 野生採集個体を持ち込まなければ、寄生虫の心配はまずありません。それと、寄生虫が親から子へ受け渡されることもほとんどなく、生まれて間もない、なにも口にしていない個体は、野生のものであっても寄生虫の心配はありません。
 野山で何かの卵を拾って来て孵化させた場合、その子はクリーンです。
 ペットショップには、人工的に繁殖させた、いわゆる養殖個体が用意されている場合が多く、これを買い求めれば寄生虫の脅威とは無縁でいられます。ただ、養殖個体なのか野生採集個体なのかは、一見して判らない場合が多いので、お店の人の言い分を信じるしかありません。
 犬猫からあらゆる小動物を扱う、ペットの量販店みたいなお店が最近は少なくありませんが、その手のお店では、スタッフに爬虫類や両生類の知識の少ない場合が多く、野生か養殖かの区別もつけずにお店に並べていたりします。でも爬虫類や両生類の専門店になると、野生か養殖かの区別の重要性を熟知していて、適切なアドバイスをしてくれることが多いです。こちらから野生か養殖かを尋ねて答えられなかったり、ウソをついたりされることは、筆者はほとんど経験したことがありません。

 専門用語で、養殖個体のことをCB(キャプティヴブリーディング)と言い、野生採集個体をWC(ワイルドキャッチド)と言います。専門店で、「このトカゲはCBですか?」なんて尋ねれば、それだけで養殖・野生の区別の重要性を買い手が知っていることを店員に伝えることができ、きちんとしたアドバイスを受けることができます。
 野生採集個体に手を出すなと言っても、人工繁殖が容易でない種では、WCしか市販されていなかったり、CBがあきれるほど高価だったりすることがあります。
 種によってはWCであっても問題なく長期飼育が可能なものもいますし、お店で充分なトリートメントがなされていて安心いて飼える場合もあります。そのような種あるいは個体については、飼育の安全性についてお店の人の説明を受けると良いでしょう。
 また、駆虫済みという表記がされているWC個体もあります。駆虫とは投薬によって寄生虫を駆除することで、これも安心できます。

 駆虫は獣医が行なう専門医療になりますが、患者を医院に持ち込んで治療してもらわなくても対処してもらえます。犬猫ばかりでなくエキゾチックアニマルも診てもらえる医院に問い合わせを行ない、指示に従って飼育動物のなるべく新鮮な便を獣医に診てもらいます。獣医はこれを顕微鏡で観察して寄生虫を見つけ、その種類に応じた適切な薬を処方してくれます。
 動物の便を持ち込むとき、動物の種類と個体の体重を申告しましょう。体重が判らなければ、「これくらいの大きさです」なんて手で示せばよいでしょう。
 薬の与え方や分量回数については、獣医の指示に従えば良いわけですが、餌に混ぜて食べさせる方法が一般的です。
 適当な獣医を見つけられない場合には、動物を入手したショップに尋ねれば教えてくれると思います。中には、適切な薬を分けてくれるショップもあるとか、総合駆虫剤なんてのがあってそれを教えてくれる場合があるとか、聞いたことがありますが、獣医にかかるより安くつきますから試してみるとよいかもです。でも、その信頼性は未知数なのでお勧めはしませんけどね。それ以前にショップで薬が入手できるなら、動物を販売する前に駆虫しておいてくれればよいじゃないですか。
 安価で確実な総合駆虫剤について正しい情報をお知りの方は、ぜひ筆者にも教えていただきたいものです。

※ 文中のWC(ワイルドキャッチド)という語句について、2014/3/18に 通りすがり様より、誤りであるとのご指摘を受けました。正しくは“ワイルドコート Wild Caught”です。お詫びと訂正を付加させていただきます。

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索引


目次

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雑虫 クモ 直翅系 半翅系 膜翅系 鱗翅系 鞘翅目 毒虫 魚たち 無脊椎
両生類 カメたち 絶滅動物 くさばな 庭草 雑草 高山植物 飼育と観察 ヒト □飼育動物データ




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