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恐竜

2015/08/24


 恐竜類は、主竜形類の中の鳥盤目と竜盤目に属する動物の総称です。学術的には2目をまとめる恐竜上目と同義になり、これ以外の翼竜類や首長竜類は恐竜ではないということになります。ネッシーやプテラノドンがなんで恐竜やないねん、と我々素人は憤激するわけですが、ネッシーはそもそも存在が確認されていない幻ですし、プテラノドンは恐竜の祖先型となる動物から別の系統に分化した動物群の一員です。
 それでもプテラノドンはしばしば空飛ぶ恐竜と表現されますし、ネッシーは恐竜の生き残りと言われています。大むかしの古生物学者は、主竜形類の中のひじょうによくまとまったグループである鳥盤目と竜盤目を、主竜目や翼竜目の例に倣って恐竜上目と竜の名を冠して呼称しただけで、それを人のウワサが過去に現存した巨大怪獣たちの代名詞として拡散させてしまったというわけなのでしょう。
 筆者は、まがりなりにも恐竜について生物の進化史に基づいて学んできた人間ではありますが、プテラノドンを空飛ぶ恐竜と呼び、ネッシーを恐竜の生き残りとする世間の風潮に目くじらを立てたりしないのであります。翼竜も首長竜も、形態的にも生態的にも現生の爬虫類とはまったく異質で、現生の哺乳類的な要素をたくさん持っています。彼らの生きていた時の姿を類推するのに現生のヘビやトカゲはあまり参考になりません。哺乳類を参照した方が彼らのことが理解しやすいです。そしてそういうところが恐竜と同じなんですね。恐竜を含め中生代に生きた進化的な爬虫類たちは、新生代の獣族に対応する竜族なのですよ。竜族の代表が恐竜というわけで、翼竜も首長竜も含めてそう呼ぶのは、的外れではないどころか、的を得た表現であると思います。
 恐竜とは、通称では中生代の竜族の総称であり、分類学上はこれといささか異なり恐竜上目に含まれる陸生動物の呼称である、このように理解すれば恐竜のなんたるかが理解できたということになるのではないでしょうか。

 さて本章では分類学上の恐竜のお話しになります。上述のように恐竜上目というグレードには鳥盤目と竜盤目という2つのグループが含まれるわけですが、前者には、剣竜類、曲竜類、角竜類、カモノハシ竜類、堅頭竜類といった草食動物が含まれ、後者は、草食の竜脚類と肉食の獣脚類で構成されています。
 鳥盤目と竜盤目の構造上の明瞭なちがいは、骨盤にある恥骨が、前者では後ろを向き、後者では前を向いています。化石動物である彼らは生きている姿ではなく骨しか確認できていないので、骨格的構造がもっとも判りやすいというわけです。
 剣竜類で有名なのは背中に大きな板状突起列を有するステゴザウルスですかね。曲竜類の有名人はアンキロサウルス、重厚な装甲を備えた恐竜です。角竜類ではなんと言っても巨大な3本角と骨質の大きなフリルを持つトリケラトプスが人気でしょう。カモノハシ竜類にはイグアノドンやマイヤサウラ、パラサウロロフスなどが有名ですね。堅頭竜類としてはパキケファロサウルスがいます。カモノハシ竜類および堅頭竜類はしばしば後足で立ち上がり2足歩行をしていました。
 そして竜脚類には、アパトサウルスやブラキオサウルスといった破格のサイズの巨大な草食獣がたくさん含まれ、獣脚類は、チラノサウルスやベロキラプトルといった2足歩行の肉食獣がいます。



 恐竜大好きな読者にとってはお馴染みの動物ばかりですね。ただ、それぞれのグループには上述した動物たちほどには特殊化が進んでいないものも少なくなく、これでも角竜かよって恐竜もいたりしますが、そこは寛容な心で許容しましょう。
 一見恐竜らしからぬ小さな恐竜、誰がどう見ても恐竜だが恐竜じゃない首長竜、どれもこれも中生代をにぎわわせた華麗な竜族の仲間たちです。

トゥオジャンゴサウルス

2015/08/25


 鳥盤目剣竜下目に属する草食獣です。剣竜類ではステゴサウルスが最も有名だと思われますが、本種もステゴサウルス科の仲間で、全長6〜7mというサイズもステゴサウルスとほぼ同等です。このサイズはたぶん剣竜の仲間では最大級だと思います。
 剣竜類はあまり活発な動物ではなく、頭脳も小さくて、森や草原をゆっくり歩きながら丈の低い草を食べていたのでしょう。背中にたくさん並んでいる骨質の板は、防御用であるとか体温調節用であるとか諸説があるようですが、大型の肉食獣が襲いかかってきた場合、この板列のせいで噛みつくのに苦慮したかもしれません。さらに本種では肩のところにひじょうに大きな角状突起があり、防御力を高めていたと思われます。



 体型的に尻尾を比較的高い位置に維持していたようなので、それを振り回して敵の襲撃に応戦していたのでしょう。尻尾の先には鋭いスパイクがついていて武器として有効だったようです。



 剣竜類は後足2本で立ち上がることもできたとも言われていますが、筆者にはそんなふうには見えないですね。常に低い位置にある頭部は、もっぱら下草を食べており、立ち上がって木の葉を食べたりということはしなかったと思います。
 化石証拠から群れで暮らしていた可能性が高いと言われていますが、現生のヒツジのようにのどかに群れていたのかもしれませんね。
 体高は4mほどあって、人間は手をいっぱいに伸ばしてようやく肩の角に触れられるていどです。

カスモサウルス

2015/08/25


 鳥盤目角竜下目に属する草食獣です。ひじょうに大きな頭部には3本の角と後方に広がるフリルがついていて大変カッコイイです。草食獣の多くは下草を食んでいるだけの愚鈍な動物ではなく、社会生活を営み、外敵には果敢に挑んでゆきます。現生のウシやシカの仲間にも闘争のための頭角を有する者がたくさんいますよね。
 また繁殖期にはオス同士の闘争も見られますが、角竜類も同様の生態を有していたでしょう。彼らは高い知性を持ち、高度な社会生活を営み、子供の世話や保護をしていたとも言われています。



 全長は5〜8mにもなる大型の恐竜で、現生のアフリカゾウを上回るほどの巨体の持ち主でした。こうした動物の群れを襲撃することは、獰猛な肉食獣でも困難だったでしょう。



 本種やトリケラトプスを含むケラトプス科の仲間は大型のものが多く進化的な恐竜でしたが、初期の角竜類はプシッタコサウルスの仲間のように角やフリルがなく、軽量で2足歩行タイプのものが多かったようです。
 進化的な角竜類が発達させた大きな角については、その使い道を想像するのは難しくないですが、大きなフリルの役目については様々な説があります。身を守る盾であったとか口を開閉させるためのバランサーであったと言った説には賛同いたしかねます。このフリルはひじょうに軽量にできていて、彼らの運動性能を妨げるものではなかったようです。ただ見かけの大きさがひじょうに大きいので、自らを大きく見せる効果は絶大だったと思われます。これで敵を威嚇したり、繁殖期にはオスがこれを誇示したりしたかもしれません。フリルには様々な模様があったという説もあり、オスがメスを惹きつけるためのディスプレーとしても有効だったかのしれませんね。

ヒプシロフォドン

2015/08/25


 鳥盤目鳥脚亜目に属する恐竜です。鳥脚類は、角竜類や剣竜類よりも少し大きなくくりで、この2つのグループが下目であるのに対して亜目になります。ややこしいです。
 ここで鳥盤目の分類について、大まかに表記しておきます。

 鳥盤目装盾亜目……剣竜下目、曲竜下目。
 鳥盤目周飾頭亜目…角竜下目、堅頭竜下目。
 鳥盤目鳥脚亜目……ヒプシロフォドン科、イグアノドン科、
          ハドロサウルス科。

 鳥脚類に関していは、装盾類や周飾頭類のように下位分類に下目というグレードがなく、その下は上科や科になります。ここでは上科は省略しています。筆者がむかし教わった分類では、カモノハシ竜類としてイグアノドン類およびハドロサウルス類が含まれていましたが、最近はカモノハシ竜類というとハドロサウルス類のことを指すようです。イグアノドン科とハドロサウルス科は比較的近縁で、イグアノドン類(グレードなし)またはイグアノドン上科としてまとめられたりします。なんかまどろっこしいこと申しましたが適当に読み流してください。最近はカモノハシ竜類という言い方はあまりしないのですかね。
 ぶっちゃけますとね、鳥盤目(恥骨が後ろ向きで腸骨と並走する)の仲間には、剣竜類、曲竜類、角竜類、堅頭竜類という4足歩行の草食獣の仲間と、鳥脚類という2足歩行の草食獣がいる、それだけ覚えておけば良いのではないかと思います。ただし、各グループの初期のタイプでは前足がきゃしゃで頻繁にまたは常時2足歩行していたものもいて、化石の中には誤って鳥脚類に分類されていたものもいたようです。
 初期の恐竜はおおむね2足歩行っぽい動物で、鳥盤類のうち鳥脚るいは進化して大型化した後もそのスタイルを継承し、それ以外の仲間は大型化と4足歩行に移行していったようです。



 本種は、典型的な初期タイプの恐竜です。スタイル的にはカモノハシ竜類を小型化したような感じで、事実むかしはイグアノドンの祖先型として分類されていたようです。前傾姿勢の2足歩行は、爬虫類の中でも恐竜だけに見られる特性ですね。



 鳥盤類の仲間は、2足歩行を踏襲し続けたものもすべて草食で、本種も草食でした。竜盤目になると2足歩行のものは肉食に移行していますが。
 本種は恐竜としては原始的な形態を継承していますが、年代的には新しく白亜紀前期に出現しました。初期の鳥脚類ジュラ紀に出現しているヘテロドントサウルスも形態的に本種と似通っておりすでに草食性を示す異歯性が見られました。この頃、竜盤目の大型草食獣や鳥盤目でも剣竜類ではすでに大型化しているものが存在しましたから、鳥盤目でも鳥脚類の仲間は比較的新しい恐竜のグループということになります。
 ヒプシロフォドンは、小型で原始的な形態を継承しながらもひじょうによく栄え、白亜紀後期まで生息していました。

フクイサウルス

2015/08/25


 鳥盤目鳥脚亜目イグナノドン科に属する草食恐竜です。本科を代表するイグアノドンに近似する動物は世界各地で見つかっていますが、本種もその1つです。我々が目にする恐竜の名称は学名の属名にあたる部分で、本種も Fukuisaurusu tetoriensis という学名があり、フクイサウルスは属名です。つまりイグアノドンとは近似するけれど別属の動物ということになり、イグアノドンの仲間がひじょうによく栄え、多くの種類に分化したことが判ります。



 イグアノドンの仲間が生息していた白亜紀前期は、鳥脚類や角竜類の大型化や多様化が始まった時代で、盤竜類のアパトサウルスやブラキオサウルスといった途方もない巨大恐竜の時代はすでに終わっていました。



 前傾姿勢の2足歩行というスタイルは、恐竜独特のものですね。現生の哺乳動物ではカンガルーがこれに近いですが、カンガルーは全速力で走る時以外は前傾姿勢ではありません。恐竜の巨大な尾でバランスをとって姿勢を維持する形態とは本本的にちがいます。
 また、竜盤類ではこのスタイルの恐竜は肉食獣に進化し、草食獣は4足動物に進化しています。竜盤類の巨大な草食恐竜の体を支えるには、さすがに2足歩行では無理だったのでしょうね。それでも多くの恐竜が必要に応じて後足2本で立ち上がることができたようです。そして4足動物で肉食のものは恐竜では見当たりませんね。恐竜はもともと基本的に2足歩行でしたから、4足動物は体の大型化に応じて進化したものです。



 フクイサウルスの復元模型。2足歩行の姿勢を保つために、恐竜の尻尾はひじょうに太く大きくなっています。こんなスタイルは哺乳類にはないですね。



 フクイサウルスの大きさは5m以内ということですが、近縁のイグアノドンでは7〜9mの体長がありました。かなりのサイズ差がありますね。こうしたことからイグアノドンは4足歩行をしており、必要に応じて、あるいは走行時に2足歩行になっていたという説が最近は有力なようです。しかしながらフクイサウルスの場合は、復元模型からも前足を歩行用に使うのは難しそうですよね。彼の前足は食草をつかむのにも小さすぎるように見えますし、あまり役に立たなかったのかもです。退化的な前足は、彼が俊足ランナーであることを示唆しているように筆者には思えます。

パラサウロロフス

2015/08/25


 鳥盤目ハドロサウルス科(カモノハシ竜類)に属する草食獣です。これはなかなか面白い動物ですよ。鼻孔から頭骨の後方へ抜ける1.8mもの管状構造がありまして、その内部は複雑に入り組んでいて空気の通り道は3mに及ぶそうです。かつては水中生活におけるシュノーケルとして機能した器官であるとの説もあったそうですが、これはどう考えても大音響を奏でることができる骨管楽器ですよね。
 このようにひじょうに発達した発音器官を有する恐竜というのは他に例がないのではないでしょうか。ほかに何か知ってます? パラサウロロフスがこの人の身長ほどもある器官で大きな音を発することができたというのは現在の主流の考え方と思われますが、なぜこの動物だけが卓越した発音器官を発達させることになったのか、というとなかなか良い答えが見つかりません。発音によって敵を威嚇したり、仲間同士のコミュニケーションをしたりしたのであれば、同じような器官が他の恐竜に発達することがなかったのはなぜなんでしょう。みんな寡黙におとなしくしていたのに、本種だけがワーワー大きな音を立てていたのでしょうか。
 声以外の発音器官を発達させた動物は、現生種では昆虫に多く見られますが、脊椎動物ではほとんど見当たりません。何らかの摩擦音を鳴らすものはいなくはないですが、たいていは喉や気管を膨らませたりで、本種のように頭にでっかい笛を乗っけている動物なんて見たことがありません。



 本種の名前は、サウロロフスに似ているという意味で付けられたそうです。なんともわびしいネーミングです。彼の特徴を象徴するそれっぽい名前は思いつかなかったのでしょうか。サウロロフスにも後頭部に伸びる突起があって、まぁ似てはいるんですけど……。もしかするとサウロロフス類にも発音の習性を持つものがいて、その究極の進化形として本種が出現したのでしょうか。ただ、本種とサウロロフスはひじょうに近しい関係でもないそうで、あの巨大な骨管楽器の出生は謎に包まれています。
 全長10〜13m、体高5m、推定体重5トンというたいへん巨大な動物です。ですので復元図では主に4足歩行であったように描かれていることがほとんどですね。ただ、2足歩行の動物としての基本フォルムは残っているので、しばしば後足で立ち上がったりしたでしょうし、幼体や身軽な若い個体は頻繁に2足歩行したことでしょう。

カマラサウルス

2015/08/27


 竜盤目竜脚下目に属する草食獣です。ジュラ紀後期に棲息していた恐竜で、全長は10〜18mほど、体重は大きなもので20トンほどになりますが、当時の大型草食獣としてはそれほど巨大なものではありません。その代わりたいへんよく栄えたようです。当時の草食獣の中には、この倍以上のサイズのものも存在し、そこまで大きくなると存分にポピュレーションを増大させるのはさすがに難しく、本種は繁栄を築くにはお手頃なサイズだったのでしょう。



 竜盤目の仲間は、恐竜を2分する大きなグループの1つですが、それをさらに2分する竜脚下目には、4足歩行の草食獣が含まれ、恐竜の中でもとくに大型のものが多かったようです。
 初期の竜脚類では、体も10m以内と小柄で、頻繁に2足で立ち上がったり歩行したりでき、原始的な恐竜のスタイルを受け継いでいました。そこから進化して大型化するにつれて4足歩行に移行していったのですが、体が重厚になるにつれて敏捷性が損なわれるわけで、それを補うように首が長くなって行きました。進化的な竜脚類の仲間は巨大な体でのっしのっしと練り歩きながら、長い首を自在に操って高木の葉を食べていたようです。



 竜脚類の長い首は、水棲動物の首長竜の首と同じで、体は大きくても採餌の動作の自由度を補完するために発達したものでしょう。これは現生のゾウの鼻と同じですね。恐竜の長い首は高いところの葉を食べるために発達したと説明している文献もありますが、恐竜の首と現生のキリンの首とでは発想がいささか違っていたと思われます。キリンの首は高木の葉を食べるのに特化しているようですが、恐竜は常時頭を高い位置に維持していたわけではないようです。復元図を見てみますと、本種やブラキオサウルスなどはかなりキリンスタイルですが、マメンチサウルスやディプロドクスのように首を前方に長く伸ばしているものも少なくありません。
 キリンの首は頸椎の基部あたりから上方に向かって伸び、常に頭を高い位置に維持するのに向いていますが、恐竜の首はどちらかというと前方向に伸びているものが多く、頭を高く上げ続けていると頭に血が上らなくなって貧血症状を起こしそうです。
 竜脚類の長い首は、もちろん高木の葉を食べるのに適していますが、高いところの葉ばかり食べ続けるのは容易ではないでしょう。彼らの首は高さ自慢よりも頭の動きの自由度を得るために長いものに進化したと考えるのが妥当でしょう。

シュノサウルス

2015/08/27


 竜盤目竜脚下目の草食獣です。ジュラ紀中期に生存していました。全長は10〜15mと、竜脚類としては大きい方ではありませんが、現生のゾウと比べると破格のサイズです。それでも獰猛な肉食獣に襲撃されることは少なくなく、対抗策として尾の先端に2対の大きな棘を持っていました。長い尻尾を振り回すことで、襲ってくる肉食獣を追い払っていたのでしょう。大型の草食獣を狙う肉食獣はチームワークで狩りをする狡猾なハンターなので、応戦がどれだけ功を奏したかは難しいところです。



 恐竜博物館には、等身大のリアルに動く復元模型が展示されたいたのですが、まさに肉食恐竜に襲われているシーンが再現してありました。両者のサイズ差は現生のゾウとライオンくらいですが、ライオンはゾウを襲うことはまずありません。中生代の肉食獣がどれほど獰猛だったかを想像すると、背筋が寒くなりました。

ブラキオサウルス

2015/08/27


 竜盤目竜脚下目の大型草食獣です。全長約25m頭部の地上長は16mていどになり、ビルの7〜8階に頭が届くほどのたいへん大きな動物でした。体重は50トンていどあったと言われています。首の長さが胴長を大きく上回るこの動物は、頭部を高く持ち上げた状態で描かれた復元図が多く、骨格標本でもそのように再現されています。この恐竜はひじょうに高い場所の葉を食べることに特化していたのでしょうか。これだけ巨大な動物になると、中生代の獰猛な肉食獣でも襲うのはなかなか困難で、充分に成長した本種は向かうところ敵なしだったと思われます。
 本種は、様々な復元図によっても頭部を高く持ち上げた状態が基本姿勢で、それに適した長大な前足を備えています。それに加え頭頂が隆起してそこに鼻孔が開いているのも特徴的です。この構造がどんな機能を有していたのか、想像するのはかなり難しいですね。解明するには松脂に封じ込められた蚊の死骸から本種のDNAを採取してクローニングによって蘇らせるしかなさそうです。



 本種が生息していたジュラ紀後期は、巨大な竜脚類が栄えた時代で、ディプロドクスやアルゼンチノサウルスはさらに巨大だったようです。ディプロドクスは全長が35mに達するものがいたそうですが、体がきゃしゃな構造で、体長は首と尻尾の長さで稼いでいる感じですが、アルゼンチノサウルスは、体長が35〜45m、体重は100トンを上回ったそうです。

フクイティタン

2015/08/27


 竜盤目竜脚下目に属する草食獣。白亜紀前期に生息していました。発掘された化石からは全長は10mほどの動物であったとされ、竜脚類としては小さな方ですが、これが成体の化石なのか若齢の個体であったのかは解説がありませんでした。
 白亜紀前期というと、大型竜脚類が栄えたジュラ紀後期からするとかなり時代が進んでおりまして、最盛期の巨大動物たちはすでに衰退していた頃です。そうした状況から本種は、ジュラ紀型竜脚類の数少ない生き残りだったのかもしれませんね。



 フクイティタンとは、ティタンすなわちタイタン=巨人ということで福井の巨人という意味を持つ属名なのですが、竜脚類の最大種を含むグループはティタノサウリア(ティタノサウルス類)と呼ばれています。これにブラキオサウルス科を含めたグループがティタノサウルス形類です。なんか解ったような解らないような動物群ですが、本種は、発見された部位が少ないことから分類がはっきりしないとしながらもティタノサウルス形類の原始的なタイプと解説されています。



 本種が原始的なティタノサウルス形類であるというのなら、それよりも前の時代に生きていたジュラ紀のティタノサウルス形類はどうなのでしょう。本種が進化的なティタノサウルス形類よりも後の時代に生きていたにもかかわらず原始的であるとするのは矛盾ではないでしょうか。否、矛盾しているとは限りません。本種に至る系統が原始的な形態をとどめたまま大型化の進化に移行せず、そのままティタノサウルス形類が衰退した後まで生き延びた、これは充分にありうることです。



 超大型恐竜最盛期であっても、10m級の小型竜脚類の方が栄え、生息個体数も多かったという化石証拠からすると、原始的な形態をとどめた仲間の方が大型化した進化的動物よりも長く生息し続けることができたというのは理にかなっています。過ぎたるは及ばざるがごとしということでしょうか。



 古生物学者のみならず多くの人々を魅了した超大型恐竜たちの衰退の原因となったのは、白亜紀になってから勢力を伸ばした進化的な鳥盤類の出現であったと言われています。体長10m内外からそれ以下の4足歩行草食類たちの繁栄が、巨大恐竜たちの暮らしを少しずつ脅かせて言ったわけですね。そうした中で、フクイティタンは最後まで生き延びた貴重なティタノサイルス形類の1つなのかもしれません。

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索引


目次

スネさん リーザさん けもの 庭虫
雑虫 クモ 直翅系 半翅系 膜翅系 鱗翅系 鞘翅目 毒虫 魚たち 無脊椎
両生類 カメたち 絶滅動物 くさばな 庭草 雑草 高山植物 飼育と観察 ヒト □飼育動物データ




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