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ドロマエオサウルス

2015/08/27


 竜盤目獣脚亜目に属する肉食獣です。獣脚類は竜脚類と共に竜盤目を2分するグレードで、多くの文献で竜脚類は4足歩行の草食獣、獣脚類は2足歩行の肉食獣で構成されるというふうに、2者が2大タイトルのように扱われています。ところが、筆者の信頼するウィキペディアほかでは、竜脚類を竜脚下目、獣脚類を獣脚亜目と、格差のあるグレードとして表現しています。福井県立恐竜博物館でも、竜脚形亜目、獣脚亜目といった表現をしており、竜脚類は竜脚形亜目の中に含まれる1つのグループとして格下げされています。ぶっちゃけどうでもよいのですが、ほんとまどろこしいですね。それなら竜脚類と獣脚類を竜盤目の2大グループだと信じてきた我々はなんなんでしょう? バカな素人なんですか? 筆者には、学者先生の単なる片付け下手、整頓と怠慢としか思えないんですが。



 本種は、その名称が科名にもなっている小型の肉食恐竜の典型的な存在です。前傾姿勢で2足歩行を行ない、ひじょうに機敏に行動しました。群れで生活しチームワークで草食獣を狩っていました。頭部は大きく、頑丈な口器には鋭い歯が並んでおり、前足にも後足にも鋭い鉤爪が備わっていて、彼らがひじょうに獰猛な動物であったことが伺えます。



 ドロマエオサウルス科の仲間としては、ヴェロキラプトルが映画「ジュラシック・パーク」で有名になりましたが、形態もサイズも本種とほぼ同等です。映画の中でラプトルはひじょうに理知的な動物として描かれており、とくにシリーズ最新作「ジュラシック・ワールド」では、哺乳動物も舌を巻くほどの理性を発揮しています。冷血動物の爬虫類のクセに、とこれを批判する人もいるかもしれませんが、恐竜の恒温性については近年ますます支持される方向にあり、筆者もそれに賛成です。このことに関してはそのうち別項で論じたいと思います。



 博物館に展示されていた本種の復元模型には前足に羽毛が見られ、体も哺乳類のような体毛で覆われていました。原生動物の哺乳類の体毛と鳥類の羽毛は別物なので、もしもドロマエオサウルスに毛が生えていたのだとしたら、全身羽毛だったでしょう。ただ現生の鳥の羽毛よりもシンプルで哺乳類の体毛に近いものだったと思われます。模型の前足にあるそでのような羽毛は明らかに鳥類の風切羽のように見えますが、このまったく機能的とは思えない羽の存在については、筆者には説明能力がありません。前足の中途半端な風切羽の存在が、彼らの狩りの妨げにならなければと案ずるばかりです。
 ただ、近年中国でドロマエオサウルス科の化石に羽毛の痕跡が次々と見つかっているのだそうで、本種が羽毛を持っていた可能性は否定できないようです。羽毛は必ずしも飛ぶためのものではなく、鳥類を分化した系統では羽毛が翼の主要なパーツに変じて行きましたが、それ以外の系統では体を保護したり体温調節を行なったりする器官として発達したのかも知れません。
 羽毛はやがて鳥類が進化してくる前段階動物にすでに存在した前適応として発達した器官だったのでしょう。羽毛はまた、ディスプレーとして活用された可能性もあると思われます。繁殖期にメスの気を惹くためにオスの模様であったり、保護色として機能したり。
 いずれにせよ、この優秀なハンターの足を羽毛が引っ張るようなことがなかったことを祈る次第です。

フクイラプトル

2015/09/08


 キタダニリュウの愛称で有名になった肉食獣です。アロサウルス上科に属する大型の恐竜で、発掘された骨格から全長4.2mと判断されていますが、これは成熟個体ではなく、成長するとさらに大きくなったとも言われています。
 映画「ジュラシック・パーク」シリーズで有名になったヴェロキラプトルよるもはるかに大きく、ディノニクスと比べても大きいです。大きな後足で2足歩行を行ない、前足は狩猟に威力を発揮したと思われる鋭い鉤爪を備えています。



 近年、ヴェロキラプトルやディノニクスが羽毛に覆われ、あまつさえ小さな翼を持っていたとする復元図が描かれるようになりましたが、小型のドロマエオサウルスについては、体温調節用の羽毛を蓄えていた可能性がなくはないと思います。しかしながら大型化するにつれてそれは失われたにちがいまりません。鳥類と共に原始的な獣脚類から分化したドロマエオサウルスの仲間にも羽毛を持つものも存在したかも知れませんが、優れたハンターとして特殊化大型化が進むにつれて羽毛やまして小さな翼など不要であるばかりか邪魔になったでしょう。



 フクイラプトルはひじょうに大型化した肉食獣ですが、ヴェロキラプトルやディノニクスの大きな特徴になっている後足の巨大な鉤爪は退化的になっているようです。後足にも武器を携えた中型の肉食獣とちがい、後足は巨体を支えるのに専念し、前足の爪や大きな口に並んだ牙を獲物を捕らえるのに用いていたようです。



 映画「ジュラシック・パーク」シリーズでは、ヴェロキラプトルが群れで行動し、絶妙なチームワークで獲物を狩るさまが描かれていますが、本種も高い社会性を発揮し、群れで暮らしていたのでしょう。



 博物館の解説にあるメガラプトル類の意味がよく解らないのですが、ヴェロキラプトルやディノニクスを含むドロマエオサウルス科の動物よりもさらに大型化したカルカロドントサウルス科のことを言っているのでしょうか。ドロマエオサウルス科の最大種とされるメガラプトルは、後足に鋭い鉤爪を備えていたとされていましたが、現在はそれが前足の爪だと判明し、もっと大きな肉食恐竜のものであるとされています。



 フクイラプトルの動く等身大模型はひじょうに精巧な動きをする素晴らしい模型でした。後足を動かして歩き回るところまではゆきませんが、前足も動きますし、まばたきもします。



 将来的には、歩き回るロボット恐竜も開発されるかもしれません。恐竜のDNAを解析してクローン恐竜を培養するよりも、ロボット恐竜の方が現実味を帯びている気もします。

チラノサウルス

2015/10/20


 チラノサウルスは、言わずと知れた竜盤目の恐竜の最高峰です。さらに大きく獰猛な肉食獣も存在したとも言われていますが、出土する化石の数から言っても巨大肉食恐竜としてはもっとも繁栄した仲間でしょう。
 みんな大好き恐竜の有名人でもありますね。



 ゴジラのモデルにもなったとか聞いたことがありますが、チラノサウルスは、同じ2足歩行でもゴジラほど直立的ではなく、後足で立ち上がった時の姿勢は、体は横向きで、大きな頭とバランスする長くて大きな尻尾があります。前脚はきわめて退化的で、小さな2本の鉤爪があるのみです。



 口器を見てみますと、頭骨に対して顎骨の割合がひじょうに大きく、鋭い歯列が並んでいます。歯の1本1本には肉を切るナイフと同じようなギザギザがあり、獲物の肉を引きちぎって飲み込んだのでしょう。



 復元模型です。この恐竜が俊足のランナーであるように復元されています。しかしながら、学者によってはチラノサウルスは、その巨体を支えて立ち上がるのがやっとで、歩くのも大変な愚鈍な動物であったと主張する人もいます。子供や若い個体はあるていどの敏捷性を備えていたものの、巨大化した成体では、狩りを子供たちに任せ、その分け前を食べて暮らしていたというのです。
 夢がいっぺんに吹っ飛んでしまうこの学説は、あまり歓迎できません。成長したチラノサウルスがそれほど不自由な暮らしを送っていたのであれば、巨大化した意味がありませんし、俊足ランナーとしてのフォルムも必要ありません。



 全長約18m、全高約12mにもなるチラノサウルスの雄姿は圧巻です。この大型動物の前では、我々は小さな虫けらのようです。彼らはチョコマカと駆け回る人間サイズの小型動物よりも、もっと大きな草食獣を主に狩っていたのでしょう。



 ひじょうに大きな頭とそれを支えるしっかりとした頸椎。チラノサウルスは、かなりの速度で走ることができ、そのまま獲物に強烈な頭突きをお見舞いすると、獲物は大きなダメージを追うことになります。前脚は退化的ですが、彼らのハンティングスタイルには、むしろ前脚は不用で、小さく形骸的である方がよかったのでしょう。
 新生代になって巨大動物をたくさん輩出した鳥類の中には、翼が退化して形骸化し、2本の後足大きな頭、大きな口器で、チラノサウルスそっくりの生活をしていた恐鳥とわれる仲間が進化してきます。恐鳥も今となっては絶滅動物ですが、彼らの進化はチラノサウルスとは平行進化的と言え、チラノサウルスの繁栄と成功を鳥類で立哨した好例と言えるかもしれません。もっとも恐鳥類はチラノサウルスと比べるとずっと小さく、大きなものでも体高がせいぜい3mていどです。



 チラノサウルスの巨体を支える後足。これに踏まれれば人間などひとたまりもありませんね。

チラノサウルス2

2015/10/22


 チラノサウルスは、たいへん獰猛な肉食動物であるとされています。もちろんそれを否定する理由はありませんが、かと言ってむやみやたらに襲ってくるとも限りません。腹を空かせていたり子供を連れていたりする肉食獣に近づくのは無謀ですが、優れたハンターは、他の動物と戦うことのリスクも充分に理解していますので、たとえば、満腹時に彼にとってまったく脅威にならない動物がチョロチョロあるいていた場合、彼はほとんど関心を示さないでしょう。なんにでも手を出して思わぬ反撃を受けて受傷することを彼も望んでいないはずです。



 現生動物でも、場合によっては草食獣の方が危険であることが多いとも言います。彼らは防衛本能が強いので、とりあえず近づくものは威嚇して遠ざけ、安全が確保できない距離まで相手が接近したと判断すると、猛然と攻撃をしかけてきたりします。



 原野を歩いていて、もしもあなたがチラノサウルスに遭遇してしまったら、なるべく彼を刺激しないように大きなモーションは避け、こっそりとスマホで撮影し、可能であれば地形の複雑な場所に退避しましょう。大型動物に追われる小型動物がものの隙間や穴に逃げ込むのはセオリーです。



 チラノサウルスって、とても頭が大きいですよね。それゆえにただ歩いているだけだと可愛らしささえ感じます。ちっこい手もおちゃめだし。でも専門家のとある意見では、あのちっこい前足にも人を引き裂くくらいの力はあるのだそうです。あんまり彼を怪物扱いしてほしくないんですけどね。



 博物館に放し飼いにされているチラノサウルスは、動きはひじょうに獰猛ですが、近づいても危険はありません。後足が足場に固定されていて歩けないからです。
 ロボット技術が進歩して、やがて本物と見分けがつかないほど精巧で、自由に歩き回る等身大の恐竜が実現するといいですね。

ジュラシック・ワールドの実現

2015/10/24


 大ヒットした映画「ジュラシック・ワールド」のロードショー公開もそろそろ終わりのようですが、みなさんご覧になりました? 恐竜がモンスター化したパニックムービーだ、あるいは恐竜のような特殊な動物を収容しているわりには設備が普通だ、普通のアトラクションのように客が大勢詰めかけているのも不自然だ、そう言った批判も耳にしましたが、筆者はこのシリーズはひじょうにリアルに恐竜を再現していると思いますし、この最新作もそれを裏切らなかったと思っています。
 もちろんドラマチックな演出をするために、実際にはそう上手くはゆかないだろうというシーンはたくさんあります。しかしながらハラハラドキドキの演出に関してそれをあり得ないと言っていたら、映画なんか見れません。事実を忠実に再現したドキュメンタリーか、報道ものでも見るしかなくなります。

 第1作「ジュラシック・パーク」の恐竜の登場シーンには、当時ひじょうに感銘を受けましたが、2作目「ロスト・ワールド」のハンティングのシーンにはもっと衝撃を受けました。恐竜は爬虫類であるという先入観から巨大なトカゲというイメージを持たれがちですが、悪人ハンターの車に追い立てられる恐竜たちの群れは、まるで形の変わったサイやゾウを見ているようで、いかにも哺乳類的なんですよね。これこそがリアルな恐竜像だ、筆者はかなり興奮してその映像に見惚れたものです。
 恐竜は爬虫類ですが、現生の爬虫類の大型版ではありません。中生代を通じて地球上で支配的な繁栄を築いていた彼らは、現生の哺乳類の位置づけにあったのです。恐竜たちはいずれもトカゲのような腹ばい姿勢ではなく、哺乳類のように4足で立ち上がっているか後足2本で歩行していました。あるいは最近よく指摘されているように体毛を有するものや、羽毛のある小型恐竜も存在したかも知れません。
 現在は人類が支配的繁栄の地位をものにし、哺乳類さえも極めて進化的なものはすっかり衰退してしまったのですが、細々と生き残るゾウやサイ、奇蹄類の草食獣たちの方が、現生のヘビやトカゲよりも恐竜に近い生きざまをしていますし、動きや、集団生活、営巣と子育てといった生態も哺乳類的でした。哺乳類と同じように温血だったという説さえあります。
 恐竜たちが滅亡したあと、新生代になると鳥類や哺乳類が繁栄し大型化を果たすわけですが、恐竜たちが現生の哺乳類に近い生態を有していたのだとしたら、どうして恐竜が滅び哺乳類が生き残ったのか、そんな疑問が生じるかも知れませんが、地質時代の中生代から新生代へ移行する時期に、地球は大きな異変に見舞われているんですね。巨大隕石の衝突という説が有力なようですが、筆者は中生代の温暖な気候を作っていた造山活動が終息し、氷河期と間氷期を繰り返す時代に突入したことが、地球上の生物に大きなダメージを与えたと考えています。
 恐竜たちは、現在よりも平均気温が10℃以上高かった中生代の環境に特化した動物たちでした。それが失われると、彼らは真っ先にダメージを受けたわけです。もちろん他の多くの動植物もダメージを受け、連鎖的にひじょうに多くの生物が死滅したわけですが、小型で少量の食料でも生きて行ける動物たちは比較的ダメージが少なく、新生代の初頭には爬虫類も哺乳類も、共に小動物からの再スタートになったわけです。そうしたところ、高い恒温性を有し地中にも進出していた哺乳類たちは、生きて行くうえで爬虫類よりも有利になり、躍進的な進化放散を開始したというわけですね。
 実際には、これほど単純ではなかったのですが。鳥類の短期的な繁栄とか、様々なドラマがありましたし。

 恐竜たちを現代の世界にクローン技術によって蘇らせることに成功したとして、彼らが現代の地球環境に適応できるかは難しいところですね。ジュラシック・ワールドを開園するには、まず中生代の気象条件を満たせるような温暖な気候が維持できる常夏の熱帯地方を選ばなければならないでしょう。高温多湿のジャングルはまさに理想的な環境と言えるでしょうが、多くの恐竜たちが草原にも進出しており、草原であっても充分な高温である必要があるでしょう。
 中生代と新生代を決したカタストロフは、地球上の生物圏をリセットしてしまうようなできごとでしたから、植生もずいぶんちがいます。草食恐竜たちが安全に食べて行ける植物をどれだけ確保できるかは、大きな課題になると思われます。あまり信憑性がない説ですが、白亜紀になって顕花植物が繁栄し始め、恐竜たちの多くがアルカロイド中毒になって死滅に向かい、恐竜たちの生態系が崩れたという説もあります。筆者が飼育している草食あるいは雑食の爬虫類でも、小松菜は食べますがほうれん草は食べられないという食物に対する適応が見られます。多くの草食恐竜を管理し続けるには、彼らにあった植物を充分に供給できるか、あるいは彼らが現生の植物にどれだけ適応できるかがカギになるでしょう。
 肉食恐竜の食事は大丈夫でしょうか。草食恐竜を餌にして置けば大丈夫ですが、クローニングによって蘇らせた貴重な草食恐竜を、餌として供給できるほどの数を維持できるでしょうか。現生の草食哺乳類を代用するのは問題ないと思われます。ただ、ヴェロキラプトルの餌は足りてもチラノサウルスの肉は充分か? と心配になりますよね。あいつデカいですよ。
 恐竜が最近よく言われるような温血動物だったら、肉食獣のみならず草食獣においてもひじょうに深刻です。でも、彼らが変温動物あるいは恒温性がひじょうに低ければ、食料事情はかなり解消されるでしょう。自ら体温を作らない変温動物はひじょうに省エネ的で、餌の摂取量も少ないです。

 ひじょうに温暖な中生代に生きていた恐竜たちは、自ら体温を作らなくても充分に体を高温に保つことができたでしょうから、彼らは変温動物でありながら、常に高い体温を維持する動物であったと思われます。幼体の成長がひじょうに早かった説を正しいとすると、幼体の間はかなりの恒温性を有していたのかも知れません。成体になって大型化すると体積に対して表面積の割合が小さくなり、保温性が大きく向上するので、生態になると自ら体温を作る機能は失われた、そんな可能性も考えられると思います。

 大きな体を有する彼らは、まちがいなく高い知性を有していました。幼体の生存率を高めるために育児も行なったでしょうし、集団生活もしていたでしょう。中生代の地層には、恐竜の営巣跡や、小さな個体を中央に集めて隊列を作っていた足跡などが残っているそうです。
 あるていど大きな動物は、知能が低いと索餌や自衛において高度で複雑な生態を必要とします。餌に囲まれて暮らしている小動物のようなわけには行かないのです。
 映画「ジュラシック・ワールド」では、飼育員が獰猛なヴェロキラプトルと信頼関係を築いている様子が描かれていますが、あれはリアルだと筆者は考えます。現生のトカゲの仲間でも飼育者に慣れたり、見なれない人間を恐れたりといった反応を示しますし、部屋で迷子になったヤモリが呼んだら出てきたり、脱走したヘビが元のケージの上に帰ってきたりといったことを筆者は経験しています。哺乳類のような表現力はありませんが、爬虫類も知性のない冷血動物であると考えるのはまちがいです。

 ということで、ジュラシック・ワールドの実現には、充分に高温多湿な気候を維持することと、草食恐竜が安全に食べられる植物を充分に確保することが重要になって来ると思われます。
 今回の映画では、翼竜が群れを成して飛び回り、人を襲うシーンがありましたが、あれはちょっと考えにくいですね。翼竜は優秀な滑空動物ではありますが、現生の鳥類ほどの飛行能力はなかったでしょう。
 また、チラノサウルスやヴェロキラプトルは、ジュラ紀ではなく白亜紀き生きていた動物です。トリケラトプスもそうですね。ジュラ紀の有名人と言えば、ブラキオサウルスやステゴサウルスですかね。
 最後に、チラノサウルスもビックリの水棲動物モササウルスが、あっと驚く活躍をいたしますが、あの動物は分類学的には恐竜ではありません、残念ですが。恐竜とされる鳥盤目と竜盤目の仲間は滅びてしまいましたが、モササウルスの属する有鱗目の仲間は、現生爬虫類の主流であるヘビやトカゲとして繁栄を築いています。あんなデッカイのはもういませんけどね。

恒温性と胎生

2015/11/03


 先日、海外のテレビ番組で「恐竜は鳥に姿を変えて現在も生きている」と豪語していました。鳥類を爬虫類に含めるという考え方をする学者はけっこういるそうですが、鳥が恐竜の姿を変えたものというのは無茶苦茶だなぁと思いました。まぁ、そう言えるだけの根拠がなくはないのですが。でも、姿を変えてという表現はまずいです。姿を変えるってどういうことでしょう? 鳥は恐竜から進化したと言いたいのでしょうか。それもまた根拠がなくはないわけで、なんとも頭のかゆいお話しなんですね、これが。
 鳥類の祖先は、確かに恐竜の仲間です。竜盤目獣脚亜目の仲間から鳥類の祖先は分化しています。鳥類を分化した小型の獣脚類は、その後ジュラ紀から白亜紀にかけてヴェロキラプトルやチラノサウルスといった大型の恐竜を輩出して行く系統と、鳥類の系統に分かれたというわけで、なんと申しますか、鳥類が初期の恐竜の子孫であることはまちがいないのですが、有名な大型恐竜たちが鳥類に姿を変えて現在もいきている、そんな誤解を招かないかすこぶる心配です。
 最近では、一部の恐竜にも羽毛があったとし、恐竜たちの復元図もなかなかカラフルになってきたりしておりますが、なんかノリが軽いなぁと苦笑させられます。羽毛があった恐竜も存在したと思われますが、羽毛がカラフルなものであるというのは、現生の鳥類を模倣しすぎなんじゃないでしょうか。実際、何とも言えませんけどね。小型恐竜ならまだしも大型種まで派手な色や模様で染め上げちまうのは、なんかいただけません。なんて言うのも筆者が現生の大型哺乳類を見てそう考えているわけなんですけどね。

 かつて恐竜は爬虫類であるというだけで、愚鈍で低能な生き物であったと想像されたことがありました。しかしながら、彼らが高い水準の知能を持ち、集団生活や育児を行なっていたという考え方が多くなってきて、恐竜も温血動物だったとか、胎生だったとか、そいういったことが議論されるようになりました。
 恐竜の卵の化石はワラワラ見つかっています。ならば卵生じゃんと結論づけるのは早計です。全長ん十メートルというバカデカい恐竜たちの卵は発見されていません。卵はその構造上いくらでも大きくできるものではないそうです。数十メートルもある母親なら、直径数メートルの卵を産めばいいじゃんと思いますが、じっさいにはダチョウの卵あたりがかなり物理的な限界に近く、それ以上大きくすると、卵殻を大幅に強固にしなくてはならず、子供が卵を破って出ることが難しくなります。
 全長25mのアパトサウルスが(旧ブロントサウルス)、ダチョウの卵くらいの大きさの卵を産んだとします。もはや母さんアパトにとって卵は米粒くらいのもので、まちがいなく紛失してしまうでしょう。あまり小さすぎて産んだ自覚すらないでしょう。そんな小さな卵から生まれた手のひらサイズのアパトサウルスがいたなら飼ってみたいものです。
 アパトサウルスは、集団生活をしていた恐竜なのだそうです。子供たちを中央に集め、大きな大人たちが外側を固めて隊列を作っていた足跡が残っていると本で読んだことがあります。彼らにとって小さな虫のようにミニマムな子供をふみつぶさないように歩くのは至難の技だったでしょう。社会性を持つ恐竜のベビーは母さんとあるていどコミュニケーションが可能な大きさが必要だったと思われます。
 恐竜の卵生説をかたくなに主張する学者先生は、アパトサウルスのような超ド級の大型恐竜は、全長が3〜4mの頃に産卵して育児を行ない、それからでっかく育ったのだとおっしゃいます。育児をする母親が、じぃさんばぁさんに保護されていたというわけです。繁殖期を過ぎた老齢の方々が、大型恐竜の本領を発揮した、まさに高齢化社会を構築していたというのです。
 でもね、全長数メートルの恐竜の卵は化石として発見されていますが、巨大恐竜の卵や、彼らからすると小さな虫のような幼体の化石が見つかっていないんですよね。
 恐竜の仲間ではありませんが、ネッシーやクッシーのモデルになった首長竜たちは、四肢がヒレに進化した完全水棲動物です。彼らもまた胎生であったことはまちがいないでしょう。ウミガメのように上陸して、彼らにとっては豆粒のような卵をせっせと産んでいたとは考えにくいです。魚竜の仲間などはもはや陸に上がれそうにありません。浜に打ち上げられたらビチビチと虚しく跳ねているだけでしょう。
 アパトサウルスの子供は、少なくともゾウの子供ていどのベビーを産んでいたと思われます。母さんアパトの大きなお腹には、大きな胎児を育てる充分なキャパシティがあります。

 これもテレビ番組(海外製作)で見たのですが、恐竜の子供はひじょうに成長が早かったのだそうです。早く大きくなり外敵に負けない体を作っちまった方が生存率が向上するからだそうです。とても理にかなっていますね。そしてそのためには彼らが高い代謝効率を持つ恒温動物であったはずだとおっしゃっていました。
 恒温動物は、温血動物とも呼ばれますが、ここは専門家チックに内温動物という言葉を覚えましょう。これに対して変温動物あるいは冷血動物は、外温動物です。内温動物は、自ら発熱して体温を維持する仲間で、外温動物は体温の維持を外気温にゆだねている動物です。だったら恒温動物、変温動物でいいじゃんとおっしゃるなかれ、外温動物でも高い恒温性を維持しているものが少なくないのです。現生の昼行性のトカゲなどは、日光浴によって体を温め、保温効果によってあるていどの恒温性を維持します。飼ってみると解るのですが、飼育者と友好的な関係を築いたり、なかなか知性的に振る舞います。
 恐竜が生きていた中生代は、現在よりも平均気温が10℃くらい高かったそうですから、彼らは内温動物でなくても充分に恒温性を維持できたんじゃないか、そう思うのです。とくにひじょうに大型になる恐竜では、体温を維持するよりも過剰に上がった体温を放熱するのに苦労したのではないでしょうか。
 体の容積に対して表面積の占める割合が大きくなる小さな恐竜や幼体では、よく放熱するので、小型恐竜や幼体ではあるていどの内温機構を持っていたかもしれません。あるいは、放熱を防ぐために羽毛を発達させ、それが鳥類の進化の前適応になったのかもしれません。
 中生代の温暖な気候で放熱になんぎしているような大きな恐竜たちは、あえて内温機構を備えていなくても充分に恒温性を維持でき、知的な生活を営むことができたでしょう。それに内温性を維持するにはひじょうに多くのエネルギーを必要とします。内温動物である私たち人間は日に3食たべますが、外温動物である爬虫類や両生類はその10分の1ていどの食事で充分ですし、1ヶ月くらい絶食しても平気です。大きな恐竜たちが、こぞって大食漢であったとしたら、温暖な中生代であっても食糧事情はかなり深刻なものになっていたかもしれません。たくさんいましたからね、巨大恐竜。
 運動する物体は慣性があるので、重力や空気といった抵抗がなければ、どこまでも運動し続けます。宇宙空間では、小さな推力でも宇宙船はどこまでも飛び続けます。いずれは天体の重力につかまるので永年に飛び続けることはないですが。
 地球上で物体を投擲すると、物体は地球の重力や空気の抵抗によって減速し、やがて地上に落下しますが、初速に応じた距離を飛び続けることができます。それと同じように外温動物の体温も熱源が絶たれたとたんに外気温と同じになってしまうわけではなく、徐々に放熱しながらゆるやかに低下します。このことを熱慣性とか言います。大型の恐竜は、中生代の温暖な気候と相まって、ひじょうに効果的な熱慣性による恒温動物であったことでしょう。日没以降は体温の低下も大きくなりますが、明るいうちは活発に行動することができたでしょう。

 ということで、恐竜は多くの仲間が高い知性を持ち高度な社会生活を行なっていましたが、そうした生活様式を実現するための恒温性(平易には血の巡りとか言いますね)を、彼らは熱慣性によって維持していたと思われます。幼体や小型の恐竜では、体毛や羽毛で放熱を防いだり、あるていどの内温性を有していたものもいたのかも知れません。
 多くの恐竜の卵の化石が見つかっているものの、ひじょうに大型化した恐竜たちは胎生だったでしょう。同様に首長竜や魚竜(分類学上は恐竜ではない)もまた胎生だったにちがいありません。
 中生代の恐竜たちを想像する場合、現生のヘビやトカゲよりも哺乳動物を参考にした方が、よりリアルにかれらの実態に迫れるのではないか、そんな気がします。

恐竜以降

2015/11/18


 中生代には、恐竜をはじめ多くの大型爬虫類が繁栄しましたが、その脅威から逃れるように哺乳類は地中生活や夜行性生活に適応し、細々と暮らしていました。進化は遅々として進まず、中生代を通じて小型のネズミタイプの動物でした。ひじょうに地味なイメージのある中生代の哺乳類ですが、小型で夜行性ではあったものの、じつはかなりの繁栄を築いており、数では爬虫類に勝っていたといわれています。現生のネズミたちがひじょうによく繁栄しているのと似たような感じですね。
 ただし、現生のネズミと中生代の原始的な哺乳類とでは系統が異なり、ネズミを捕まえてこれが中生代の哺乳類の生き残りかぁ、なんて思うのは筋違いです。現生のネズミ(齧歯類)たちは新生代に入ってから霊長類と共に真主齧類という比較的新しい系統から分化した動物群です。
 中生代の哺乳類は卵生で、現在の感覚では哺乳類は胎生というイメージがありますが、哺乳類の進化史の中でもかなり最近になってから胎生は確立されました。哺乳類よりもむしろ、大型の恐竜や水棲の大型爬虫類の方が胎生動物としては先輩になります。
 同じく爬虫類から分化した仲間でも鳥類は、初期の恐竜の仲間から分かれましたが、哺乳類の祖先は恐竜以前の単弓類の仲間から分化しています。両生類から分かれた最初の爬虫類は、頭蓋骨の目の後ろに側頭窓といわれる穴が1つで、のちに側頭窓が2つの仲間が現れ恐竜をはじめ主要な爬虫類はみんな側頭窓が2つの双弓類の仲間です。

 中生代末に恐竜や大型の爬虫類が絶滅したあと、地質時代は氷河期と間氷期を繰り返す、中生代に比べて寒冷な時代に突入しますが、そうした新しい時代に最初に大型化を目指したのは鳥類でした。中には恐鳥と呼ばれる大型で獰猛な飛ばない鳥の仲間も現れました。ところが飛翔動物としての特化が進んでいた鳥類の政権は短期に終わり、汎用性ということで優れていた哺乳類が次第に勢力を伸ばし、地球上のあらゆる場所に彼らは進出し、陸生動物のみならず、水生動物や飛翔動物まで輩出し、大型化も実現します。
 新生代は、恐竜なくともひじょうにダイナミックな時代だったのですよ。その時代に終焉をもたらしたのが人類ですね。更新世第4紀は人類の時代です。しかしながら、人類文明の発達と進化的な哺乳類の衰退の時期は一致していません。マンモスやウィンタテリウムといった大型哺乳類を衰退に導いたのは、文明以前の石器人類の繁栄です。文明人としての人類ではなく、野生動物の一種であった人類が、脊椎動物の時代を新たに塗り替えたというわけです。

シノカンネメエリア

2015/11/19


 中生代三畳紀前期に生息していた草食動物です。全長が2mくらい。下の復元模型を見ていただいて、何に見えます? 筆者はカバに似た動物だなぁと感じたのですが、そうは思いませんか? じつはこの動物、ディメトロドンと同じ単弓類の仲間なんですね。ディメトロドンの復元モデルは背中に帆のあるトカゲといった感じですが、いかにも哺乳動物的な趣です。
 ディメトロドンを含む盤竜類は古生代後期に大型動物を輩出し栄えましたが、本種は恐竜たちが闊歩し始めた三畳紀に栄えた獣弓類に属します。ディメトロドンもシノカンネメエリアも同じ単弓類に属する動物ですが、方や爬虫類的でもう一方は哺乳類的です。
 脊椎動物のうち陸生動物として進化を始めた仲間を四肢動物類と括り、その中の両生類を除く動物群を有羊膜類と呼称したりします。羊膜で覆われた卵を持つ陸上での生殖に適応した仲間、それが有羊膜類です。有羊膜類には爬虫類、鳥類、哺乳類が含まれるという考え方が一般的ですが、これを単系統としてまとめると、有羊膜類は単弓類と竜弓類に2分され、前者は哺乳類に進化する系統を含み、後者には爬虫類と鳥類に進化する系統を含みます。この場合、単弓類は単弓綱というグレードとして記述され、私たちにとってお馴染みの哺乳綱、爬虫綱、鳥綱は消失してしまいます。対する竜弓類は竜弓綱になるのかと言えば、そういう記述は見当たりません。いったい何なんでしょう、この腹立たしいいい加減な分類法って。



 ややこしい分類法についてチマチマ書いたのは、私たちが慣れ親しんできた分類法では、単弓類は両生類から分かれた最初の爬虫類ということで爬虫綱単弓亜綱というグレードになり、シノカンネメエリアは
ディメトロドンと共に爬虫類になりますが、上述の単弓綱を設ける分類では、彼らは爬虫類でも哺乳類でもない単弓類の仲間ということになります。恐竜や現生の爬虫類は竜弓類に属し、哺乳類の系統とは別系統の道を歩んでいるので、単弓綱を設ける分類法が誤りであるとは言えません。その場合、哺乳類は爬虫類から分化したのではなく、両生類から単弓類として分かれ、その系統から哺乳類が導かれたということになります。



 哺乳類の直接的な祖先が爬虫類なのか両生類なのか、ぶっちゃけどっちでも私たちの生活に影響はありませんが、この博物館で、同じ単弓類の動物が、古生代のものは爬虫類的に、中生代のものは哺乳類的に復元されているところが興味深いと思いました。
 中生代の哺乳類形爬虫類は、当時の原始的な哺乳類よりもずっと哺乳類的だった、そう言えると思います。

リノティタン

2015/11/28


 新生代始新世の中ごろ、中生代の恐竜や大型爬虫類が一斉に絶滅を迎えてから1500万年ばかり経った頃、にアジアに生息していた大型哺乳類です。肩までの高さが2mもある草食動物で、復元図はたいていサイのような動物として描かれていますが、現生のサイに比べると足が長く全体的にずんぐりした感じはありません。骨格標本では頭頂に大きな突起が目立っていますが、復元図では角として描かれておらず、上顎から突起にかけて皮膚が覆い、高い位置に鼻孔が開く特徴的な顔立ちになっています。



 新生代前期に当たるこの時期、哺乳類は鳥類の進化を制して全盛期を迎えつつありました。もう少し詳しく言うならば、有袋類が鳥類を制し、それを真獣類が制して本格的な哺乳類の時代が到来した頃でした。真獣類とは、生殖器官として胎盤を持つ仲間です。現生の哺乳類はそのほとんどが真獣類で、有袋類はオーストラリア地区と南米に生き残りがいるに過ぎませんが、大型真獣類が進出して来るまでは、世界中に有袋類が生息したそうです。

ウインタテリウム

2015/11/28


 新生代始新世に北米およびアジアに広く分布していた草食獣です。復元図ではサイのような動物として描かれていますが、現生のサイが属する奇蹄目ではなく恐角目という絶滅群に属する動物です。新生代前期の真獣類が繁栄しつつあった時代には、サイタイプの草食獣がひじょうに多かったようです。
 頭部には大きな角状突起が3対あり、犬歯が大きな牙になっている面構えは、ひじょうに獰猛な動物を思わせますが、大脳が小さくかなり愚鈍な動物であったと言われています。



 体長約3〜3.5m、体高は2.5mほどありました。大きいです。こんなのが群れを成して大地を闊歩していた時代を想像すると、現在の哺乳類が新生代第3紀に比べるとひじょうに衰退していることが判ります。



 これより少し後の始新世末期になると、奇蹄目の仲間の進出が目覚ましくなり、その最大種パラケラテリウムでは、体長8m肩までの高さが5.5m、首をのばせば7mの高さになるという大型化を達成しています。これは長鼻目(ゾウ目)の現生種および化石動物を上回る大きさで、史上最大の哺乳類です。
 なおパラケラテリウムは、古くはインドリコテリウムやバルキテリウムとも呼ばれていました。筆者はバルキテリウムの名がもっとも馴染み深く、パラケラテリウムの名はなかなか覚えられません。

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